日本では地震や豪雨など自然災害が多発しており、防災教育の必要性は極めて高いにもかかわらず、その実施状況には課題が残されています。例えば、高等学校では約40%もの学校で防災教育が実施されていないなど、決して少なくない学校で「空白地帯」が生じています(※)。
こうした現状に対し、教育学部の仲野純章准教授と奈良地方気象台、奈良女子大学附属小学校がプロジェクトを組み、教育効果が高く、どの地域でも水平展開できる「防災教育の1モデルケース(以下、防災教育パッケージ)」を構築し、その普及を通じて防災教育の促進を図ることを目指しています。今回、この取り組みが、11月24日(月)の毎日新聞奈良地域版(朝刊)に掲載され、今後継続的に取材・連載されます。

現在、気象台からは日々、膨大な種類・量の防災気象情報が提供されています。こうした情報が溢れる中、災害時には、自分自身や家族にとって「必要な防災気象情報はどれか」を考えて利活用する力が必要になります。
本プロジェクトが提唱する新しい防災教育は、この「利活用する力」を育成することを目標としています。そしてその前提として、「自らの置かれた場所(自宅や避難場所など)には災害時どういった危険性が潜んでいるかを考える力」が求められます。
この「災害時に潜む危険性を考える力」を育成するため、プロジェクトでは、代表的な災害である大雨を題材として、以下のような要素を複合させた「防災教育パッケージ」を試行的に構築‧実践しています。
(1)理科教育などの教科教育
川や気象など、大雨と深く関連する部分の系統的教育
(2)防災気象情報の基本教育
過去の甚大災害例や、現在の防災気象情報及びその利用方法に関する教育
(3)フィールドワーク
自らの置かれた場所に潜む危険性の現地調査
今回の取り組みにおいては、気象データだけでは完全な判断が難しいことに気づかせることも重視されています。具体的には、社会的‧地理的な側面等も考慮する必要があることを理解させることも狙いとされています。
この取り組みは、同校での教育効果検証の後、他校でも検証・改善を重ね、最終的に広く社会に普及(水平展開)させることを目指しています。仲野准教授らは、構築された新しい防災教育のパッケージについて、学会や論文、あるいはメディアを通じて取り組み内容を発信し、普及を働きかける予定です。
※出典:柴田真裕・田中綾子・舩木伸江・前林清和(2020)「わが国の学校における防災教育の現状と課題」『防災教育学研究』第1巻,第1号,19-30.

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https://mainichi.jp/articles/20251124/ddl/k29/100/139000c
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| 掲 載 日 | 2025年11月24日(月) |
| 新 聞 名 | 毎日新聞 奈良地域版(朝刊) |
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理科教育学、科学教育学、物理学、材料工学
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