奈良県奈良市で生産されている「奈良墨(ならすみ)」は、2018年11月7日に経済産業省に認定された伝統的工芸品です。教育学部 仲野 純章 准教授の研究グループは、この奈良墨の原料となる「煤」の形成過程を研究しています。
この度、研究グループの論文が、科学技術関係を中心とする世界最大規模の出版社Elsevier(エルゼビア、本拠地オランダ)発行の学術専門誌「Carbon Trends(カーボントレンズ)」に掲載され、読売新聞 奈良地域版にその概要が掲載されました。
研究グループは、教育学部の仲野純章准教授(元:奈良県立奈良高校教諭)、広島大学の廉明徳さん(奈良県立奈良高校出身)、神戸大学の久米祥子さん(奈良県立奈良高校出身)、龍谷大学の藤原学教授の4名で、原料の「煤」の生産に欠かせない職人の経験則を科学的にアプローチ・検証した研究を行っており、「煤」が炎の中で形成される過程の一端を突き止め、2022年にも海外の有力出版社「Springer Nature(シュプリンガーネイチャー)」が発行する学術専門誌に掲載されました。
奈良墨は、室町時代に興福寺二諦坊の灯明の煤を集めて作ったのが始まりとされており、墨作りのプロセスの中でも煤を生産する工程は職人の経験則に基づくところが大きく、今回の研究では「小さい芯を使って、小さな炎から煤を採取することで良質な煤ができる」という経験則を検証しました。実際に煤が生産される環境を意識しながら大きさの違う3種類の芯を用いて煤を採取・観察し、その結果、最も小さい芯から良質な煤ができることを、科学に初めて実証しました。
仲野 純章准教授は、「伝統技術の継承とその科学的な理解の基礎となる研究。それが国際的にも認められ、4人の研究としては集大成。今後は波及効果を期待し、さらにこの研究が発展していってくれることを願っています。」と話しました。
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掲 載 日 | 2025年5月28日(水) |
新 聞 名 | 読売新聞 奈良地域版 |
理科教育学、科学教育学、物理学、材料工学
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