令和8年度 科学研究費助成事業(科研費) 令和8年度 採択課題 研究概要

国際性と空間認知能力を育成する天文分野のCLIL教材および授業デザインの開発

研究代表者氏名 井村 有里
(イムラ ユリ)
所属 教育学部
教育学科
職位 講師
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26K06018

研究の目的

現行の学習指導要領では「言語能力の確実な育成,理数教育の充実」が求められています。科学分野のみならず世界の最新の情報は英語で発信されることから、理系的素養を持ち、生涯にわたって学び続ける人材を育成するためには、子どもたちに英語の有用性を実感させる必要があります。本研究では、小学校から高等学校までの理科の天文分野の授業の中で、英語を苦手と感じる児童・生徒も視野に入れ、既習の英語を用いることで、理科と英語の学びが深まる教材を開発することを目的としています。

期待される研究成果

各国の小中高等学校教科書における地上視点での天体の学習は、異なる緯度で異なる高度の運動が扱われていると考えられます。本研究では緯度の異なる国ごとに、代表的な天体や天体の運動の学習方法の違いについて教科書比較を行い、同時に塚本ほか(2019)の卓上プラネタリウムの改良による各国の天体の運動の再現を試み、これらを用いたCLIL型授業の構築に取り組みます。卓上プラネタリウムは児童生徒自身が操作を行い、時刻と方角、緯度を指定できる構造とし、各国からの観察視点での天体の学習を取り入れることを通じて,CLILの4C (Content, Cognition, Communication, Culture)の実現と同時に、児童生徒の空間認知能力の向上が期待されます。

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マンガを原作とする新作能の社会文化的意義と表現特性の解明

研究代表者氏名 植 朗子
(ウエ アキコ)
所属 文学部
日本学科
職位 准教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26K03643

研究の目的

本研究は、マンガを原作とする新作能の革新性と、それがもたらした社会文化的インパクトを明らかにすることを目的とする。能は舞台装置を最小限に抑え、観客の想像力に依存して状況を描出する日本特有の伝統芸能であり、マンガやアニメとは表現技法が大きく異なる。能とマンガという2つの芸術は、一見すると対照的な表現形式を持つが、能とマンガの融合によって芸術創造における新たな可能性を生み出した。
本研究では、マンガを原作とする新作能(以下、「マンガ能」とする)を分析対象とし、他のアダプテーション作品(アニメ・映画)との比較を通じて、その相互関係と革新性を検証する。これにより、伝統芸能における新たな表現手法の開拓、現代社会における能の再評価、さらには能の持続的可能性への貢献を目指す。

期待される研究成果

本研究は、新作能/マンガ/アニメという3つの芸術分野を横断的に分析することを特徴とする。さらに、「マンガ能」がマンガファンに受け入れられた社会文化的背景を明らかにすることで、「マンガ能」の伝統芸術の革新モデルとしての可能性を示す。本研究の成果は、伝統芸術の革新的モデルとして他の芸術分野にも示唆を与え、マンガ文化の今後の発展にも寄与できることが期待される。

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認知症高齢者の生活支援に向けたコーディネーション教育プログラムの実施と評価

研究代表者氏名 岡野 明美
(オカノ アケミ)
所属 看護学部
看護学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 25K14223

研究の目的

本研究の目的は、地域包括支援センターの認知症高齢者の生活支援に向けたコーディネーション教育プログラムを実施し、その効果の有無を明らかにすることである。

期待される研究成果

包括には包括活動を展開するにおいての共通する教育基盤がなく、認知症の疾患や支援や制度の知識に専門職の差が予測される。また全国レベルでの包括の人材育成の基盤や方針(田中ら,2021)は構築しておらず、コーディネーション力を高める研修等は見当たらない。教育の必要性やニーズがあるが教育体制が整っていない状況に対する研究であるところに学術的独自性がある。また共生と予防の社会を実現させるには、認知症の一般的知識ではなく、支援困難事例を多職種他組織と話し合える力量や地域支援を展開する方法の習得などが求められると考える。本教育プログラムは、3職種が共通の教育基盤をもつ研修機会であること、認知症の精神症状の理解、ファシリテーション、地区診断の講義と講師内容を行動につなげるための会議運営、地域支援に関するスキルの獲得等研究を通して得られた知見からコーディネーション力が高まると予測された内容を教育に組込んでいる点に創造性があると考える。

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小学校英語授業における学生の英語使用スキャフォルディングストラテジーの解明

研究代表者氏名 小柴 和香
(コシバ ワカ)
所属 教育学部
教育学科
職位 准教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26K04103

研究の目的

本研究の目的は、小学校英語教育において教職課程履修学生が授業で英語を使用する際のスキャフォルディングストラテジーの特徴・変化・課題を明らかにすることである。具体的には、模擬授業および小学校における絵本読み聞かせ活動の発話データを収集・分析し、ストラテジーの使用傾向や機能を検討する。さらに、教職課程における指導を通じて、それらの方略がどのように変化するかを明らかにし、効果的な指導のあり方について示唆を得ることを目的とする。

期待される研究成果

本研究により、小学校英語教育における教職課程履修学生のスキャフォルディングストラテジーの使用実態とその変化が明らかになる。これにより、英語を用いた授業内相互作用を支える具体的な指導方略に関する知見が蓄積される。また、これらの知見に基づき、教職課程における指導内容の改善や、より効果的な教員養成のあり方への示唆を提示することが期待される。さらに、EFL環境における初期段階学習者への支援に関する研究として、国際的な知見の発展にも貢献する。

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認知症カフェの運営に携わる看護職のための教育プログラムの開発

研究代表者氏名 杉本 多加子
(スギモト タカコ)
所属 看護学部
看護学科
職位 講師
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26K13968

研究の目的

本研究は,認知症カフェの課題を解決しながら認知症カフェの運営を継続できる人材を育成し,地域共生と認知症予防の実効により,たとえ認知症になったとしても,だれもが住み慣れた地域で暮らしていける社会を創生するという視点と認知症カフェに携わる医療職、特に看護師に特化した運営教育プログラムの試用の結果を評価する「認知症カフェに携わる看護職のための教育プログラムの開発」に関する研究である.研究の目的 ① 認知症カフェに携わる看護職に関する教育プログラムを作成する. ② 作成した運営教育プログラムを実証することで運営教育プログラムを活用し,認知症カフェの運営が継続できる.である。

期待される研究成果

教育プログラムを作成し、実践により認知症カフェの運営に看護職が看護の視点を持って参加することで、認知症カフェの運営維持のみならず,来場した高齢者の健康管理,認知症予防,安全な環境の提供を実現し,持続可能な認知症カフェの新しいあり方を創出し、たとえ認知症になったとしても,だれもが住み慣れた地域で暮らしていける社会を創生することができる。

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注意欠如多動症(ADHD)児の自己管理スキルに着目した支援システムの構築

研究代表者氏名 鈴木 浩太
(スズキ コウタ)
所属 教育学部
教育学科
職位 准教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26K06265

研究の目的

本研究では、自己管理スキル(学校、家庭、認知)の発達に合わせた注意欠如多動症(ADHD)児の支援システムを構築することをめざす。ADHD児の困難さは、自己管理スキルの未獲得に関係する。発達に伴い、求められる自己管理スキルは学校・家庭で変化していく。また、適応制御などの認知機能の発達は、自己管理スキルの獲得に関わる。しかし、学校・家庭における自己管理スキルの発達が不明であり、背景にある認知メカニズムも検討されていない。そこで、以下の3点を明らかにすることを目的として、調査を実施する。それらの知見に基づき支援システムを構築する。

期待される研究成果

ADHD児は、自己管理に課題を抱えることが多く、自己管理スキルの獲得に焦点を当てて、支援することが有効である。しかし、学校・家庭で必要な自己管理スキルの発達に不明な点もある。また、背景にある認知メカニズムは検討されていない。本研究では、学校の調査、家庭の調査、認知機能の調査から自己管理スキルの獲得の発達過程を明らかにする。明らかにした知見に基づいて、支援システムを作成し、学校における実践で適用の可能性を検証する。本研究によって、日本国内の自己管理スキルの実態が明らかになり、この知見はADHD児の評価に用いることができる可能性がある。また、本研究は、ADHD児を対象にした自己管理スキルの支援システムを提案するため、支援方法の整理につながると考えられる。本成果によって、子どもの特徴に応じた支援が実現されることが期待される。

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養護教諭養成課程におけるシミュレーションを活用した卒前教育プログラムの開発

研究代表者氏名 波田野 希美
(ハダノ ノゾミ)
所属 看護学部
看護学科
職位 講師
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26K06173

研究の目的

近年、子どもが抱える健康課題は多様化・複雑化しており、学校において健康管理の中核を担う養護教諭の役割は一層重要となっている。一方で、養護教諭には初任期から高度で幅広い実践力が求められるにもかかわらず、救急対応や保護者・教職員との連携等に困難を感じる者が多く、心理的負担や早期離職の要因となっていることが指摘されている。このような状況に対しては、実践的能力の向上に加え、職務に対する自信や有能感、すなわち自己効力感を高める教育的支援が必要であると考えられる。
しかしながら、養護教諭養成課程における教育は、これまで主として知識や技術の習得に重点が置かれており、実際の学校現場に即した総合的な対応力や自己効力感の形成にどのように寄与するかについては十分に検討されていない。
そこで本研究は、初任期養護教諭を想定した卒前教育として、学校現場における救急対応場面を再現したシミュレーション教育プログラムを開発し、その教育的効果を実証的に明らかにすることを目的とする。

期待される研究成果

初任期養護教諭が直面する困難に対応するためには、応急処置技術の習得にとどまらず、状況判断や多職種連携、事後対応までを含めた実践的能力と、それを支える自己効力感の向上が必要である。本研究では、学校現場に即したシミュレーション教育プログラムを構築し、その効果を多面的に検証する。
これにより、養護教諭養成課程において、学生の実践的能力および自己効力感を体系的に育成する教育方法の確立が見込まれる。また、開発したプログラムを標準化・汎用化することで、他大学における養護教諭養成教育への適用が可能となり、教育の質向上につながることが期待される。
さらに、本研究成果は、初任期養護教諭の心理的負担の軽減や早期離職の防止に資する可能性があるとともに、シミュレーション教育の有効性を自己効力感の観点から示すことにより、教員養成および看護教育等、関連分野における教育実践の発展にも波及することが期待される。

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女子ジュニアアスリートを対象とした健全な競技力発揮に資する多職種連携支援の検討

研究代表者氏名 橋元 真央
(ハシモト マオ)
所属 社会学部
人間福祉学科
職位 准教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26K14338

研究の目的

本研究課題の核心をなす学術的「問い」は、女子ジュニアアスリートにおいて、月経周期やホルモン動態がどのように健康やパフォーマンスに影響するのか、そしてその影響を多職種連携によって可視化・評価・最適化することで、健康保持と競技力向上を両立できるかという点にある。
本研究の目的は、女子ジュニアアスリートを対象に、月経周期およびホルモン動態が健康状態や運動パフォーマンスに及ぼす影響を縦断的に解明し、その知見を基盤として個別最適化された評価・介入モデルを構築すること。さらに、その成果を現場で活用可能とするために、指導者・医師・栄養士・心理士・教員などの多職種連携支援の在り方を検討し、発育期女性アスリートの健康保持と競技力向上を両立させる科学的根拠と実践的ガイドラインを提示することを目指す。

期待される研究成果

世界保健機構(WHO)はジュニア期の身体活動の利点を強調する(Chaput, JP., 2020)一方、近年の世界的調査では、11~17歳の女子の84.7%が、身体活動不足であるとの報告がある(Guthold, R., 2020)。さらに、審美系、持久系、重量系スポーツのアスリートは、非アスリートと比較して、摂食障害行動や視床下部性無月経の有病率が高いことが確認されている(Morrison, AE, 2021)。ジュニア世代では健康維持とREDs予防が中心で、ホルモン測定を伴う縦断研究は極めて少ない。成人領域では「個別化」が強調されるのに対し、ジュニアでは生理機能確立が優先される。しかし、ジュニア期の月経トラッキングを基盤とした包括的多職種連携支援の研究は国内外ともに見られない。
そこには、ジュニア期を扱う研究は被験者保護・同意、発達段階(骨成熟やホルモン成熟度)の考慮、月経開始年齢や月経周期の不安定さ(自然な変動)という困難さが存在するが、本研究は前向きコホート研究や実践介入研究を通じてこれらの課題を克服し、女子ジュニアアスリートの健全な競技力発揮を支えるヘルスリテラシー育成を促進する上で重要視すべき、先駆的な基礎研究という役割を果たすことが期待される。

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FPSボイスチャットを用いた緊急状況下の低ポライトネス受容の検証

研究代表者氏名 村端 啓介
(ムラハタ ケイスケ)
所属 文学部
国際コミュニケーション学科
職位 講師
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26K03915

研究の目的

本研究の目的は、オンラインFirst Person Shooter(FPS)ゲーム中のチームメイトとの音声会話を手がかりに、緊急時の会話の特徴を明らかにすることである。本研究で対象とするApex Legendsのような競技性の高い対戦型オンラインゲームでは、敵への対応や仲間との連携を短時間で行う必要があるため、ポライトネス(言語的配慮)が十分に行き届かない強い言い方や、配慮を省いた簡潔な言い方が用いられることがある。本研究では、そのような発話であっても相手との関係を損なわずに受け入れられる場合があるのではないかという可能性を検討する。具体的には、ゲームプレイ中の音声会話や録画データを収集し、会話分析を通して、どのような場面でどのような言い方が現れるのかを分析する。さらに、参加者への事後評価を通して、それぞれの発話がどのように受け止められたのかを詳しく検討する。これにより、緊急時の会話にどのような特徴があるのか、またどのような条件のもとで相手に受け入れられるのかを明らかにする。

期待される研究成果

本研究により、緊急状況下において、通常であれば配慮を欠くと受け取られうる発話が、いかなる条件のもとで相手との関係を損なわずに受け入れられるのかを明らかにすることができる。これにより、従来は主として非緊急的な日常会話を前提としてきたポライトネス研究に対して、緊急性や時間的制約といった状況要因を組み込んだ新たな視点を提示することが可能となる。また、オンラインFPSゲームのボイスチャットを用いて緊急時の自然な会話データを収集・分析する方法を示すことにより、現実場面では収集が難しい緊急時コミュニケーション研究の方法論的基盤の整備にも資すると考えられる。さらに、本研究の成果は、教育現場における対人コミュニケーション理解の深化に加え、緊急時における円滑な情報伝達のあり方や、状況に応じたAI対話設計の検討にも示唆を与えることが期待される。

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児童養護施設の進路支援に関する教育社会学的研究―児童相談所との連携の観点から―

研究代表者氏名 山口 季音
(ヤマグチ キオト)
所属 社会学部
人間福祉学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 23K02224

研究の目的

本研究は、何らかの事情で家庭で暮らせない子どもが生活する児童養護施設において、施設職員がどのような進路の支援を行っているのか調査・研究するものです。特に「児童相談所との連携」という観点から職員に対して、4年間の継続的なインタビュー調査を実施しています。調査分析を通じて、困難な状況の世代間連鎖をいかにして予防できるのかについて、施設職員の実践から考察しています。

期待される研究成果

児童養護施設職員の具体的な実践を明確にすることでその評価や課題を検討しやすくし、業務改善・施設全体の質向上に寄与することが期待されます。また、児童相談所をはじめとする連携先との関わりをスムーズにしたり、あるいは阻んだりする要素を捉えることも期待されます。

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2年目から6年目の養護教諭を対象とした「研修空白期」における研修プログラムの開発

研究代表者氏名 吉村 知容
(ヨシムラ チヨ)
所属 教育学部
教育学科
職位 講師
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26K05746

研究の目的

本研究は、2年目から6年目の養護教諭が直面する「研修空白期」が引き起こす実践力の向上が停滞するという問題に対し、その解決と専門性の確立を支援する研修モデルの開発を行う。養護教諭は、複雑化・多様化する児童生徒の健康課題に対応する高度な実践力が求められているにもかかわらず、一人職であることによる孤立と、体系的な研修機会の不足という構造的問題を抱えている。本研究では、「研修空白期」における養護教諭が必要と考える実践力と他の教職員が養護教諭に対して期待する実践力を明らかにしたうえで、実践力の向上に有効な研修プログラムを開発する。つまり、研修を受講することが法的に義務付けられていない経験年数の浅い養護教諭を対象にした研修プログラムを構築することにより、養護教諭の実践力の向上と専門性の確立を目的とする。

期待される研究成果

国内における研究は、経験年数の浅い養護教諭が実践上の困難を抱えている現状にあるとともに、養護教諭のキャリア形成に影響を与える要素の1つに研修が挙げている。また、国外における研究は、キャリア初期のスクールナース(養護教諭)は一人職であるが故に深刻な問題を解消できず、離職することが問題視されており、継続的な研修の必要性が指摘されている。これらの研究動向から、初期段階の養護教諭を対象とした研修の重要性は示唆されているが、研修プログラムは未開発の状況である。
本研究では、「研修空白期」の養護教諭の実態とニーズを解明し、児童生徒の健康課題に対応する高度な実践力を育む研修プログラムを開発することで、養護学の新たな学術的知見と実践上で生じる問題の解決策を提示する。これにより、経験年数の浅い養護教諭の実践力の向上と専門性の確立が期待される。

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英語学習・教育レコードの歴史的研究:データベース構築による全体像と使用実態の解明

研究代表者氏名 上野 舞斗
(ウエノ マイト)
所属 文学部
国際コミュニケーション学科
職位 講師
研究種目 若手研究 研究課題番号 26K16670

研究の目的

本研究の目的は、明治期から1960年代にわたり国内で発売された英語学習・教育用レコードの全体像とその使用実態を明らかにすることである。英語教育では音声・発音が果たす役割が大きい。その意味において、レコードは当時の学習者が実際に聴いた音声を今に伝える貴重な一次資料である。しかしながら、英語教育史研究は紙資料中心に発展してきたため、レコードの全体像や使用実態は未解明であり、資料そのものも劣化・散逸の危機にある。そこで本研究では、レコードの実物、およびレコード会社の総目録・月報・広告等を収集してデータベースを構築するとともに、学習指導要領、教授法書、英語雑誌、学習回想録等からレコード使用に関する記述を収集・分析し、その使用実態を解明する。

期待される研究成果

(1)構築した、英語学習・教育用レコードのデータベースを公開することで、各レコードの会社名・音盤番号・吹込者・発売年・内容等を検索・閲覧できる基盤が整備される。
(2)音源のデジタル化、可能な範囲内での公開により、明治期から昭和期にかけて学習者が実際に聴いていた英語音声への現代からのアクセスが可能となる。
(3)レコードが英語の教授法・教材の発展においていかなる役割を果たしたかが実証的に明らかになり、紙資料中心であった英語教育史研究に音声メディアという新たな資料領域が開かれる。
(4)これらを通じて、英語教育史研究および教育メディア史研究の発展に資するとともに、今日の英語教育への示唆を得ることが期待される。

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誰を国民とするか―日本・ドイツ・韓国における帰化要件の変容と国籍概念

研究代表者氏名 髙 希麗
(コウ ヒリョ)
所属 経営学部
経営学科
職位 講師
研究種目 若手研究 研究課題番号 26K16230

研究の目的

本研究の目的は、日本・ドイツ・韓国を対象に、「どのような人がその国の国民として認められるのか」を明らかにすることである。特に、外国人が国籍を取得する際に求められる条件(帰化要件)に注目する。例えば、その国にどれくらい住んでいるか、言葉を理解しているか、安定した生活を送れているか、法律を守る意思があるかといった点である。これらの条件は単なる手続きではなく、その国が「どのような人を国民として受け入れたいと考えているか」を示している。本研究では、こうした条件がどのように変化してきたのかを3か国で比較し、その背景にある考え方を明らかにする。また、それらの条件が憲法の考え方(平等や人権の尊重)とどのように関係するのかを検討し、現代社会における国籍のあり方を考え直すことを目指す。

期待される研究成果

本研究により、各国がどのような考え方で「国民」を決めているのかが分かりやすく示される。これにより、これまで制度として理解されることが多かった国籍の問題を、人権や平等といった視点から見直すことができる。また、法律を守ることや社会に適応することを求める条件が、どの程度まで認められるのかを検討することで、外国人の権利と社会のルールとのバランスについて理解が深まる。さらに、日本では人口減少や外国人労働者の増加が進んでおり、外国人をどのように受け入れていくかが重要な課題となっている。本研究は、こうした課題に対して、多様な人々が共に暮らす社会を築くために、どのような国籍制度が望ましいのかを考える手がかりを提供するものである。学問的意義にとどまらず、今後の政策や社会の議論にも役立つことが期待される。

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子どもを希望する女性乳がん患者の妊孕性セルフマネジメント領域密着型理論の構築

研究代表者氏名 小西 玲奈
(コニシ レイナ)
所属 看護学部
看護学科
職位 講師
研究種目 若手研究 研究課題番号 26K20698

研究の目的

本研究の目的は,女性乳がん患者が,がん治療とともに患者自身による妊孕性に関するセルフマネジメントとその支援の過程を説明する領域密着型の理論を生成することである。

期待される研究成果

女性の妊孕性とは,妊娠できる力であり,妊娠を可能にするための不可欠な生体の力である。乳がん治療のがん薬物療法には,卵巣能を抑制させ妊孕性に負の影響を及ぼす可能性があり,妊孕性の喪失は,子どもを産み家族を形成すること,パートナーとの人生設計の変更を余儀なくすることもある。その回避手段として将来的に子どもを望む場合,妊孕性を保持するための受精卵・卵子・卵巣組織片を凍結する方法(妊孕性温存治療)がある。患者は,乳がん治療とともに妊娠・出産することの検討が可能になった。
本研究では,長期に渡る乳がん治療とともに,子どもを望む乳がん患者が自身の身体変化と妊娠の意思確認を行い,その相談を希望する場合は,がん・妊孕性の専門医療者とつながることが可能なセルフマネジメントの過程を明らかにする。これにより,がん・妊孕性に関するセルフマネジメントの看護支援とその整備における新たな知見をもたらすことが期待される。

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現代外国語教育のためのメタ言語・メタ文化能力の参照枠の構築

研究代表者氏名 ピアース ダニエル ロイ
(ピアース ダニエル ロイ)
所属 教育学部
教育学科
職位 講師
研究種目 若手研究 研究課題番号 26K16106

研究の目的

AIと総称される技術の急速な発展は外国語教育に衝撃を与えている。この中、特定の外国語教育においても目標言語の習得のみならず、学習者の既存言語能力を活用させながら他言語習得を支えるメタ言語・文化知識や技能(=言語・文化についての知識等)の育成を目指す「複言語教育」が提唱されている。しかし、比較的に言語・文化的に均質である日本の文脈に、複言語教育の重要性がどの程度受容され、教員養成にどの程度浸透しているかが十分に解明されていない。また、教員養成に応用可能な具体的な学習目標を明記した資料は不足している。そこで本研究の目的は、
1)複言語教育を行っている海外研究者等への聞き取り調査・資料収集を行い、日本への文脈化の可能性を検討する。
2)教員(養成者)との協同研究通して、時代や技術の変化に対応できる教員に必要な知識・技能を検討する。
3)教員養成に活用できる事例等を含めた『現代外国語学習のための手引き・評価のための参照枠』を構築する。

期待される研究成果

メタ言語・メタ文化知識の育成を図る「複言語教育」に関わっている国内外の研究者・教育者に教育実態調査や資料収集、および学校現場の教員と教職課程に在籍する学生との協同研究を通して、1)時代の急速な変化に対応できる外国語教員に必要な知識・技能を明記し、2)教員養成に活用できる事例や実践例を含めた『現代外国語学習のための手引き・評価のための参照枠』を構築する。

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カンボジア教育改革における社会科カリキュラム・インプリメンテーションの研究

研究代表者氏名 守谷 富士彦
(モリヤ フジヒコ)
所属 教育学部
教育学科
職位 講師
研究種目 若手研究 研究課題番号 26K16757

研究の目的

社会科は、各国の社会文化(特に歴史・政治・文化的文脈)やその変動の影響を受けやすいため、国際的な対話が困難とされてきました。しかし、平和で民主主義の社会を構築するために社会科を国際教育開発する試みは極めて重要です。
本研究は、民主化の過渡期にあるカンボジアを事例として、どのように社会科教育の国際協力を進めれば、途上国の教育改革をカリキュラムや教科書の開発にとどまらず、学校現場への実装(インプリメンテーション)を含めて自律的に促進できるのか?を明らかにすることを目的としています。

期待される研究成果

本研究は、課題番号23K12784の成果をふまえ、更なる発展を目指す研究です。
まず、社会科の国際協力事業やカリキュラム・インプリメンテーションに関する先行研究を調べて動向・課題を整理します。次に、代表者が過去に従事したカンボジアでの研修効果を追跡調査し、研修の中期的な効果を検証します。さらに、現地の小・中学校で社会科の授業研究研修を実施し、その成果がどのように読み替えられながら学校現場へ実装されていくのかを分析します。最後に、国際協力を通じた国家カリキュラムの開発と学校現場へ実装過程をダイナミズムとしてモデル化します。

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妊産婦のメンタルヘルス改善に向けた口腔内環境改善プログラムの構築

研究代表者氏名 鷲尾 弘枝
(ワシオ ヒロエ)
所属 看護学部
看護学科
職位 教授
研究種目 若手研究 研究課題番号 26K20736

研究の目的

わが国は、母子保健施策を整備することで、乳児や妊産婦死亡率を低減させてきた一方で、社会は少子化、核家族化や地域の結びつきの希薄化、育児の孤立化へと変化した。妊産婦自殺率は諸外国に比較して高く、その数は産科的合併症による母体死亡数を上回り、また、心中による虐待死は、母親の育児不安・うつ状態が最多の要因となった。新型コロナウイルスの感染拡大後に急増した周産期うつ病は、産科で行われる妊産婦健康診査時に、日本語版エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)によるスクリーニングが実施されているが、産科からの紹介を受けて、精神科医師がその診断を行うため、時間を要する。また、対象となる妊娠・出産・育児期にある妊産婦は、医療・行政・福祉それぞれの専門家が時期別にかかわっているのが現状であり、支援者が定まっていないことが大きな課題となっている。現在、妊産婦にかかわる支援者の育成・多職種連携への取り組みなどが行われてはいるが、その支援は、妊産婦やその家族への関係性改善のための介入が主となっている。本研究は、妊産婦の口腔内環境データとメンタルヘルスデータを用いて、その関連、および、その背景要因との関与を明らかにすることを目的とする。その結果を踏まえて、妊産婦のメンタルヘルス改善に向けた口腔内環境の改善プログラムを構築することである。

期待される研究成果

妊産婦は、つわり等によって、歯磨きがつらいと回答している割合が高いことや、プロゲステロン増加は、血液透過性を亢進させ、歯肉の浮腫により出血が起こりやすいことなど、妊娠するだけで、口腔内環境は自然に悪化するにもかかわらず、妊産婦健康診査に、歯科健診は含まれていない。また、支援者である産科スタッフの約4~7割は歯科・口腔保健に関して情報を得る機会がなく、保健指導の必要性を感じている医療者は少ないことや、口腔ケアに関して自信のない産科スタッフは約8割存在したことが報告されており、周産期において、妊産婦は、最も身近な最初の存在となる産科スタッフから、適切な保健指導が十分に受けられていない状況にある。妊産婦のメンタルヘルスと口腔内環境との関連およびその背景要因の関与を明らかにし、その結果を踏まえて、妊産婦の口腔内環境の現状に合った改善プログラムを構築することは、周産期うつ病を減らすという点において、喫緊の課題である。本研究は、歯周病などを含む口腔内環境悪化を改善することで、周産期うつ病などを含むメンタルヘルス悪化を予防するために有効なプログラムを構築することに取り組むことのできる研究である。

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https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-26K20736
※国立情報学研究所の科研費データベースへリンクします。

グローカルな昭和外交思想史の研究 ―左右両翼が混ざる府県レベルの磁場に注目して―

研究代表者氏名 渡部 亮
(ワタベ リョウ)
所属 社会学部
社会学科
職位 講師
研究種目 若手研究 研究課題番号 26K16137

研究の目的

本研究は、グローバルな視野を持った左右両派の外交思想が、ひるがえって地方レベルのローカルな政局を動かす力学を明らかにし、以て1920~40年代の政治過程および中央・地方関係のダイナミズムを再構成することを目指す。

期待される研究成果

本研究は、必ずしも外交政策の決定過程には影響力を持たない(それゆえ外交史研究では等閑視されてきた)地方レベルの外交思想が、府県というローカルな思想空間においては異様な熱を帯びてイデオロギー的対立を横断していたことに着目し、そうした外交思想の対内的跳ね返り現象をテコにして当該期の政治構造を描き出そうとする試みである。詮無い夢想として埋もれてきた草の根の外交思想に光をあてることで、これまでハイポリティクスに傾斜してきた日本政治外交史のあり方を根本から問い直すことにもつながり、法学・政治学・国際関係論とのあいだに学際的な刺激をうみだすことが期待される。

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https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-26K16137
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