Shitennoji University
四天王寺大学では、大阪府や奈良県、和歌山県の高校と高大連携協定を結んでいます。これにより、高校生の皆さんには大学の学びに触れる機会を提供することができ、また、本学学生たちにとっては大学での学びを実践できる場となる、有意義な活動の数々が実現しています。
今回は、連携協定校である大阪府立大塚高等学校(以下、大塚高校)と社会学部 社会学科の高大連携プログラムで、年間を通して大塚高校2年生が取り組む地域課題探究活動を、幅広い学びを展開する社会学科の教員がそれぞれの専門領域から学びをサポートします。
大塚高校の地域課題探究活動は、今年は「防災」「歴史文化」「高齢者問題」「子育て」の4テーマとなっており、1学期は四天王寺大学の教員による模擬授業、2学期には松原市と連携した取組、3学期はプレゼンテーション発表へと続いていきます。
5月23日(金)、社会学部 社会学科で社会学やジェンダー研究、社会病理学を専門分野とする牧野 雅子 講師が四天王寺大学3号館にあるICT教室で実施しました。牧野先生は、この『防災を/から考える』というタイトルに2つの意味を込めています、と話しました。
まず1つ目は、タイトル通り『防災を考える』です。
「災害が発生した時に、どう行動するか」という日頃の訓練や準備に関する内容の他に、災害時には見えていなかった(≒見ようとしていなかった)ことが露呈する、という社会問題と照らし合わせて、大塚高校の皆さんと一緒に考えてみました。
まずは防災に関する知識として、災害の危険性や発生時の行動、そして避難の仕方など、避難場所や避難経路、必要な備え、情報収集の方法など、高知県が取り組む防災関連の冊子の事例を紹介しました。
また地震や津波とは異なる視点で、高校生の皆さんも経験した災害の1つとして「新型コロナウイルス感染症」があげられます。長期にわたるコロナ禍で、学校の休校や部活動の大会や修学旅行の中止、リモートワークなど、これまでの日常が一変しました。
ここで牧野先生から投げかけがありました。
世界中で猛威を振るったコロナ禍は、すべての人々に同様の影響を与えた・・・だろうか?
ここから2つ目の意味となる「防災という取組を通して、見えてきたものは何か」を考えます。
2020年4月、緊急事態宣言直後に職を失った女性は男性の2倍も差があり、原因として
・非正規雇用者の女性割合が高い
・女性が多く働く飲食・宿泊業などがコロナ禍で大きな打撃を受けた
などが挙げられ、ジェンダー研究を専門とする牧野先生の視点を、さまざまなデータと共に紹介。
そして「災害時におけるジェンダー差」として、東日本大震災を例に避難所における問題について、ジェンダー視点による避難所の設計や多様な視点として女性リーダーの必要性を解説し、大塚高校の皆さんも新しい視点の発見があったのではないでしょうか。
「災害時の問題」というのは平時と地続きであり、平時の問題が増幅・露呈したもので、平時には把握できなかったニーズの存在が顕在化した状態。冒頭の災害時には見えていなかった(≒見ようとしていなかった)ことが露呈するということは、平時の社会問題を考えて、変えていくことが重要と話し、牧野先生の授業はここで終了となりました。
タイトルにもある『防災を/から考える』ですが、
①「防災を考える」
②「防災という面から見えてくるものを考える」
という2つの意味。
今回、牧野先生は「新型コロナウイルス感染症」や「東日本大震災」といった災害を例に、さまざまなデータから「防災という取組から見えてくるジェンダー問題」を考える、ということを模擬授業を通して大塚高校の皆さんに体験いただきました。
地域課題がテーマの中心ですが、いろんな考え方があり、自由で多角的な視点があるということ、そのために調査・分析する力と探究のプロセスが、まさに社会学らしさだと思いますので、引き続きがんばってください!
模擬授業の前に、大塚高校の皆さんはCOCODININGでランチタイム!食堂も体験いただきました♪