台湾で高齢者ケア研修―多職種連携の重要性を学ぶ―

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看護学部と社会学部の学生が、グローバル化に対応できる看護・福祉人材に求められるスキルや、複数の領域の専門職者が連携およびケアの質を改善するために、同じ場所で学びながら互いに学び合うIPE「多職種連携教育(Interprofessional Education)」と、複数の専門職がそれぞれの技術や役割を活かし、共通の目標に向かって協働するIPW「多職種連携(Interprofessional Work)」について、理解をより深めるため、3月16日~19日の4日間、台湾で高齢者ケア研修を行いました。今回はその様子をお届けします!

初めての海外研修、緊張と期待にあふれた出発

今回参加するのは、看護学部看護学科の学生4名、社会学部人間福祉学科の学生2名の合計6名です。教員の引率があるものの、海外経験がまったくない学生は少し緊張した面持ちで関西国際空港へ集合。

いよいよ、台湾へ出発です!

1日目はフライト時間の関係上研修はなく、台北の街を散策することに。苦労しながら手に入れた台湾の交通ICカード「悠遊カード」を手に、地下鉄に乗って街に出ました。

たどり着いたのは、寧夏夜市。現地の方は夜市などで外食をすることが多いようで、私たちもここで各自夕食を取ることに。雰囲気と混雑具合に、台湾を感じながら台湾グルメを堪能しました。

いよいよ始まる高齢者研修

2日目、現地の大学や施設を訪問しました。

台中市南区にある「中山医学大学」を訪問し、講義を受講させていただきました。
中山医学大学は、医療に関わるスタッフを養成する大学で、医学、看護、理学療法、作業療法、社会福祉をはじめ、医療施設の経営等の学部があります。
大学では、まず現地の学生とお互いの大学や文化を紹介し、講義がスタート。

印象的だったAR/VRなどのICTを活用した講義では、救急外来を受診したAIの患者に問診し、対象の病歴や看護、生活について情報収集をする体験をしました。学生は、問診をするための知識の重要性と患者の状況に寄り添いながらコミュニケーションを取る難しさを感じていました。

次に、台湾の高齢者住宅「共生宅」を見学。

共生宅は、多様な世代や異なる背景を持つ人が、共用スペースやイベントを通じて交流し、相互に生活をサポートしあう生活の場です。

日本の高齢者住宅とは違い、見学した共生宅は、1階に本屋、花屋などの商業施設、2・3階はホテル、5階は有料老人ホーム、6階は会議室・レストラン・バー・カラオケなどがある商業施設です。建築家であるオーナーは、この施設を建設する際、医療、看護、社会福祉等の専門家の意見を取り入れて設計されました。

「働く人も家族のように」の理念で運営されている共生宅では、スタッフの方もとてもフレンドリーでした。居室は近代的なデザインで、共同のキッチンや食堂もありました。

日本では、高齢者施設に入所すると、地域の方と交流する機会があまりないのが現状ですが、台湾の「共生宅」は、商業施設や住宅、交流スペースが一体となった複合施設となっていました。世代や背景の異なる人が自然に関わり合う環境があるため、高齢者が「支援される」存在ではなく、地域と「ともに暮らす」視点が印象的でした。

また、入居している高齢者と地域の住民が一緒に、廃油を利用したせっけん作りを行い、その収益を施設の運営や高齢者支援に還元される仕組みがありました。これは、高齢者に労働を強いるのではなく、それぞれが役割を持ち、社会を支える一因であり続けることで「ここにいていい」「住み慣れた地域で最期まで」を具体化したものでした。

現地での最終日

居住・在宅サービス(グループホーム、デイサービス、訪問サービス等)を一体的に提供している「小太陽グループホーム・デイサービス」を見学しました。地域に根差した高齢者サービスの拠点として、地域包括ケアの中核的役割を担っています。

ここでは、利用者さん一人一人の生活や習慣を尊重しながら支援を行っていました。中でも印象的だったのは、介護食です。

骨付き肉をミキサーにかけて後から皮を付けていて、見た目を通常の料理に近づける工夫がされていました。単に「食べられる」だけでなく「食事を楽しむ」「食べる意欲を保つ」といった心理的側面にも配慮されており、「その人らしい生活を支えるケア」になっていることを学びました。

地域と繋がる暮らし

帰国前には珈琲農園を見学。ここでは、地域の気候や文化を活かした取り組みに触れました。近年台湾では温暖な気候を活用して珈琲豆の栽培に力を入れているそう。

ここでも、高齢者がコーヒーの木の栽培、収穫、焙煎や販売などを営むことで、観光客に伝統や文化などを継承し、社会や地域とのつながる取り組みをされていました。

参加した学生は帰国後の成果報告会にて、4日間の研修を振り返って

「認知症や高齢者ケアの様々な施設を通して、生きがいを見出す利用者主体の支援や自己決定の尊重は日本と共通して重要だということを学びました。」

「友膳食(介護食)の演習で試食もしたが、ミキサーでペースト状にした後に、元の食べ物の型に入れて形を戻し、味だけでなく見た目でもおいしそうにすることは、食べる人の尊厳を守ることにつながることを学びました。」

「台湾では、医療職だけでなく銀行などの商業施設とも共同で認知症の人を理解する研修をしており、私は4月から社会人(公務員)になりますが、行政と福祉や高齢者を結び付けられるような人になりたいと思いました。」

「台湾と日本の共通点や相違点を知ったり、AIを活用した講義を体験し、多職種連携の視点を持ちながら一人ひとりに寄り添った支援を実践してことが重要であることを学びました。」

などの発表がありました!

今回の台湾での高齢者ケア研修を通して、学生たちは多職種連携の重要性や、多様な価値観を尊重したケアの在り方を学びました。現地での経験は、将来グローバルに活躍できる看護・福祉人材としての成長につながる貴重な機会となりました。

WRITER
わわわ!編集部
関連リンク
四天王寺大学:看護学部
四天王寺大学:社会学部
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