2週間で人生を変えるビジネスの実践学習 ー経営学部ベトナム・アントレプレナーシップ(起業家精神)インターンシップー

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2024年にはじまった経営学部のベトナム・アントレプレナーシップインターンシップは無事2回目を終えることができました。このプログラムでは、情報通信系の私立大学である「FPT大学」と学術交流協定を結び、商品企画から販売まで現地で実践する2週間を体験します。中心メンバーである経営学部の天野教授と、今回の参加者で経営学部の橋原杏奈さん・楠本勝康さんに、インターンシップの魅力や学びを語ってもらいました。

(中央)経営学部 天野教授、(左)同学部1年 楠本勝康さん、(右)同学部1年 橋原杏奈さん

若者が自分らしく、そして世界で活躍する起業家社会を作っていきたい

ーまずはこのインターンシップが始まった経緯を教えてください。

[天野教授]
普段の授業では起業、投資、地域、国際、そしてイノベーションをテーマに教えています。ベトナムでのインターンシップは昨年が初実施で、ベトナム中部のダナン市にあるFPT大学と共同で初企画しました。「未来のアントレプレナー(起業家)を海外での実践的な活動から育てたい」との想いのもと、海外経験がなく英語に自信がなくても成果を実感でき、これからの歩みが変わるようなプログラムを考えました。

[楠本さん]
私は経営学部に入った理由もやりたい仕事も明確になくて、「何かのきっかけがつかめたら」という思いで参加しました。海外に行くことは2回目だったのですが、ベトナムは治安や環境が不安でした。でも、実際は高層ビルが立ち並ぶビーチリゾートのような美しい街で、食べ物もおいしく、数日で慣れることができました。

[橋原さん]
私は初海外です。地方公務員志望で公共経営を学んでいるのですが、「大学時代に海外の実体験を積みたいな」と考えていたタイミングでこのインターンシップを知って、友人と参加しました。現地ではコミュニケーションがいちばんの不安でしたが、FPT大学の学生のバディが親切に接してくれたので毎日楽しく過ごせました。

[天野教授]
私自身も経済団体、地域研究機関で働きながら1995年ごろに個人でネット通販を立ち上げ、ベトナムでの仕入れ、サイト構築まで自分でやってきました。ベトナムには計10回ほど足を運んでいます。なので、海外でのマーケティング、具体的には企画から販売、見せ方の工夫、改善までを一貫して体験でき、海外に関心を持つ学生が立ちあがり「コト」を起こす場をつくりたかったのです。

また、企業に就職することだけが出口ではないことに気づいて欲しいですね。むしろ新しいことに自ら挑戦する学生起業家を増やしたいと考えています。自分らしい仕事を楽しみながら、閉塞感ある日本の社会をもっと面白くイノベーティブにしていって欲しいという思いもあります。

失敗することも大きな勉強。そしてそれは失敗ではなかった。

ーインターンシップの流れについて教えてください。

[天野教授]
「日本の文化を、手作り商品を通じてベトナムの若者に伝える」という大きなテーマが与えられ、まずは渡航前に「何を提供するか?」の企画会議をベトナム側や、他校の学生も交えたオンラインで実施しました。

渡航後のベトナムでは市場を歩いて現地の物価水準を調べます。試作品を手に、どのような商品をいくらなら買いたいか、などのヒアリングを現地の学生に行いました。材料や什器は日本からの持参に加えて現地でも調達し、主に高校生や大学生に校内で販売。財務諸表の作成、収益計算、最後に利益配分も行います。ちなみに第1回のときは、「日本の抹茶と和菓子」「開運絵馬と書道」「寿司型キーホルダー」の3チーム展開でしたが、2回目となる今回は「扇子」と「絞り染め」の2チームになりました。

[橋原さん]
私のチームは「日本語の文字を入れた手作りの扇子」を売ることにしました。アイスの棒で骨組みを作り、「幸福」「招福」などの文字をその場で筆入れしました。原価が安いものを選んでしまったので、商品を渡す直前に割れてしまうハプニングもありましたが、予備を準備していたので臨機応変に対応することができました。みんなと徹夜で必死に作成したのもいい思い出です。ベトナムにも扇子はあるのですが、日本語の筆での手書きメッセージが受けて、概ね想定通りに販売することができました。最終的には完売できてすごく嬉しかったですね。

[楠本さん]
私達は「絞り染めの手拭い」を売ることにしたので、日本で染料やさらしもめん布を準備して行きました。でも、現地のヒアリングで手拭いを使用する習慣があまりないことが分かったんです。また、「サイズが大きい」「生地が薄い」「価格が高め」といった要因が重なり、思ったようには売れませんでした。そこで売れ筋の単色のものやハート柄に絞り込み、価格も変更。手首に巻けるアクセサリーとしての使い方を提案したり、最後は自分の足で歩き回って学生に直接声をかけて販売しました。

仕入れした数量が多く原価も高くなったこともあって、最終的には赤字という結果に。商品自体はとてもおもしろいと言ってもらえたのですが、計画することと実際に現場で売ることのギャップを実感しましたね。

[天野教授]
でも、それも一つの大きな勉強ですよね。現地でも私があまり口を出すことはありません。できるだけ学生らの自主性に任せていますし、現地の学生バディも付いてくれて、その子たちが色々アドバイスや意見をくれるので一歩離れたところから見守っています。失敗したら失敗したで、それも糧になりますからね。現地バディ学生にとっても、日本人学生の発想は刺激になっているようです。

起業がもっと当たり前になる感覚を持って帰って、挑戦して欲しい

ー参加してみてどうでしたか?

[橋原さん]
日本語でも英語でも、自分からコミュニケーションを取りに行かないと何も始まらないな、と痛感しました。聞く力も大切ですし、円滑なやり取りができると販売する現場も、チームの雰囲気も一気に良くなっていきました。その感覚を身をもって知ることができましたね。このインターンシップはビジネスを学ぶことが中心ですし、英語ができなくても参加できるインターンシップではあるんですが帰国してからも英語学習を頑張っています。

[楠本さん]
私もチームワークの大切さはすごく感じましたね。企画や利益分配で意見がぶつかった場面でも、感情的にならないよう一歩引きつつ、腹を割って話し合うことで前に進めることができました。実はスポーツ関連で起業したいなと思っていたんですが、そのビジョンも少し明確になり、率先的に取り組むアントレプレナーシップの意味がわかってきました。

ーどんな内容の起業ですか?

[楠本さん]
元々卓球をやっていて、データサイエンスを学びたい気持ちがあったんです。もう少し勉強をしてからと思っているので将来的なことになりますが、データサイエンスと経営の部分と両立して、卓球ビジネスを将来事業にできたらいいな、という思いが高まりました。

[天野先生]
起業は特別なことではなく誰にでも挑戦できることです。特に、時間もパワーもある大学生の起業はリスクが少ないだけでなく、先生や仲間、地域のみなさんが全力で応援してくれます。実は、昨年の参加者は現地の学生との出会いがきっかけで来日が実現し、大学祭でベトナムのバインミーをキッチンカーで販売しました。学生が立ち上がりビジネスが動き出す瞬間に、学生のたくましい成長と頼もしさを感じますね。

大学時代の海外体験は人生の飛躍のチャンスです。起業家精神と国際感覚を育んでください。来年度も人数が集まれば、実施予定です。英語が苦手でも大丈夫!「人生を変える2週間」にぜひ友達を誘ってチャレンジしましょう!

ーありがとうございます。ではお二人からも今後参加する学生さんにひと言お願いします。

[楠本さん]
今までしたことのない経験が、たくさんできるのでどんどん挑戦してください!「これから何をしようかな?」と将来の進路に迷っている人にもおすすめです!

[橋原さん]
英語も人間関係も、すべてビジネスの現場で鍛えられます。ぜひベトナムで自分を解放してください!

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