社会調査実習:大正区を読み解く【後編】



授業「社会調査実習」は、「社会調査士」を取得するための、総仕上げにあたる科目です。四天王寺大学の社会学科では、異なるフィールドで調査を行っている4名の教員が同時に協力して、この科目を担当しており、本授業を履修することで、これまでの履修の中で身につけた社会調査に関する知識を実践に応用する力を身につけると同時に、さまざまな角度から社会を理解する能力を育むことができます。前半では、大正区の歴史的背景などを説明しました。今回の【後編】では、学生たちの調査の様子などを紹介します。

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社会調査実習:大正区を読み解く【前編】

 

平尾本通商店街(サンクス平尾)。沖縄名産の食料品などが購入できます。

ソテツ。昭和山に登ると途中にあります。

その歴史と痕跡を振り返ると、日本の近代化の象徴ともいえる大正区ですが、日本の多くの地域と同様、現在では少子高齢化問題に直面しています。特に大正区は、日本の基幹産業であった製造業にかつてほどの勢いがないこととあいまって、現在では大阪市24区の中でも最も人口が少ない地域になっています。しかし、難波まで自転車で20分程度という場所に立地する千島団地は、比較的安価な家賃と、モノづくりの伝統を生かして居住者によるリノベーションを可能にするというアイデアによって、新しい形での復活を遂げています。

千島団地。同じ大正区内には大型家具販売店のIKEAも立地しています。

大正トンボロマルシェ。千島団地前の千島公園で飲食、物販やワークショップが定期的に実施されています。

学生の皆さんからは、「京セラドームに行くために大正駅で降車したことは何度もあったが、街中を見たことがなかった」、「大正橋、渡船、昭和山からの眺めなどが記憶に残った」、「静かな商店街だったが食料品や飲食店が開店していることが印象的だった」、「沖縄風ホルモン焼が美味しかった」など、さまざまな感想を頂きました。

フィールドワークの基本は鳥の目と虫の目。鳥の目=昭和山に登り、大阪を俯瞰して考えます。

虫の目=足元を見ることも大事です。写真は石敢當(いしがんとう)。魔物を防ぐとされています。

IT技術の発展により、近年は企業や行政においても、データ分析が盛んに行われています。データ分析に必要な知識を身につけることは、社会調査士資格を取得するための重要な要素です。しかし、そもそも何を分析するのか、あるいは、データ分析の結果をどのように理解し、具体的な施策に結び付けるのか、という点は、データ分析からだけでは得ることが困難です。現場におもむき、五感を使って、人々の営為を多面的な角度から感じ、データとフィールドを何度も往復しながら深く調べていくことで、より有効で人間的な施策を考えることが可能になります。

学生の皆さんには、是非、社会学科で身につけた社会調査の知識や経験を将来に生かして頂ければと思います。

大正区役所前で記念撮影。

ホルモンの看板に吸い込まれる人々。

【関連リンク】

社会学科ブログ:社会調査実習:大正区を読み解く【前編】

社会学科ブログ:食から考える 2022年度社会調査実習の取り組み

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