夏学期の1セメ大学基礎演習Ⅰで「先輩の話の第二弾(卒業生の話)」を実施しました。
2022年9月12日
1回生の夏学期最後の授業日に、先輩の話第二弾を実施しました。今回も前回同様に、コロナ感染の拡大防止のため、各クラスの教室にzoomで遠隔配信する形で実施いたしました。前回は在校生の先輩の話でしたが、今回は卒業して実際に働いている先輩方3名にお話してもらいました。
中部瑞穂さん:京都市立小学校教員
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中部さんは、四天王寺大学在学中に中学校社会、高校地歴公民の教員免許を取得し、現在、小学校で教員としてつとめながら、同時に、小学校免許の取得も目指しています。中部さんが元々中学生教員を目指していた理由は、多感な時期の子供たちを支える仕事として魅力を感じていたからだそうですが、4回生のころから総合育成支援を小学校で始めたことが契機となり、小学校の教員となることも目指し始めました。現在は京都市立の小学校の3年生担任として忙しい毎日を送っていると話していただきました。 これから教員を目指す学生の皆さんに対しては、「教員のための勉強だけでなく、興味を持った分野を分け隔てなく学べる社会学科の科目や授業をできる限り修得することをお勧めします」とアドバイスをいただきました。 |
橋野有輝さん:法務省専門職法務教官
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橋野さんは、現在、法務省専門職法務教官として働いています。入学した当初、橋野さんは教員を目指していたのですが、2回生の頃に授業で学んだ心理学や犯罪・非行に関する社会学に興味を持ち勉強を進めたことが現在の仕事に進むきっかけになったとお話して頂きました。3回生のゼミ選択の時に犯罪社会学を専攻し、実際に少年院に見学に行ったことが直接の契機となり、現在従事している法務教官の道を目指すことを決めたそうです。その後、大学時代には、インターンとして法務教官の仕事を体験したり、ゼミでの犯罪社会学について本格的に勉強したことなど話していただきました。 1回生へのアドバイスとして、「まだまだ就職や進路に関心が薄いかもしれないが、多くのことにチャレンジしてほしい」と強調されていました。社会に出て仕事を始めるとまとまった時間がとれないため、「学生時代にあれもやっておけばよかった、これもやっておけばよかった」と思うことが多くあるようです。 |
前田蓮さん 大正区自立生活支援センター スクラム 相談支援
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現在、前田さんはNPO法人で障害者自立支援の仕事をされています。前田さんには脳性まひという障害がありますが、元々は、そのことを理由に福祉の道に進むという「型にはまった考え」に反発し、福祉の仕事にはあまり興味を持っていなかったそうです。 しかし、コロナの拡大を含む、社会の大きな変化の中で、就職活動での自分の「強み」を考えた際に、自分自身の経験と、大学で学んだ心理学の知識を生かせる職業に就きたいと思うようになったことがきっかけとなり、最終的に福祉の道を選択することになりました。 現在お勤めの職場では、障害がある人たちの相談支援、万博実施会場での現地調査などのバリアフリー調査、ヘルパー派遣事業などの仕事が行われています。「同年代も多く楽しい職場」だそうです。 1年生へのアドバイスとしては、「勉強も大事だが、自分の好きなことをたくさん楽しんでほしい。大学卒業後、就職した後は、自分の趣味や好きなことをする時間も少なくなるので大学生活を楽しんでほしい。」と話されていました。 |
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登壇者の皆さんの話の後、質疑応答が行われました。その中のいくつかをご紹介します。
Q:大学時代の楽しいかったことや、大変だったことなどの思い出は何ですか。
中部さん:教職関係の発表が大変だったけれども、友人同士で相談しながら作り上げる過程が楽しかったです。
橋野さん:同じように、教職関係の発表が大変だったけれども、並行しての法務教官の試験準備や卒論の準備を進めていた大学の3回生後半以降が大変でした。今ではいい思い出になっています。
前田さん:所属していた部活動のバーベキューや、ノートテイキングをしてくれるサポート学生との昼食でのおしゃべりが楽しい思い出です。
Q:仕事に就くときに大変だったことは何か、そしてそれをどのように乗り越えたのでしょうか。
中部さん:小学校教諭に講師として従事した初年度にコロナで2か月間休校になり、その対応が大変でした。ただ、その期間に教材研究などの準備ができたことはよかったと思います。昨年度に担任を受け持っていた時には、はじめの1学期は大変だったが、子供たちとのルール作りなどで工夫してなんとか乗り切りました。
橋野さん:周りの友人が就職を決めていくなかで、卒業間近の1月後半にようやく法務教官の内定をもらえたのがうれしかった。4月以降に勤めている少年院に来る子どもたちは、箸の持ち方や、対人関係など一つ一つに問題を抱えているので、本当に体力勝負なところがあります。
前田さん:現在の勤め先にインターンに行っていたときに、「うちに来ないか」と誘われて現在に至るので、それほど大変な思いはなかった。自分でも「何とかなるだろう」という気持ちで就職活動に臨んでいた。自分でも楽観的なほうだと思います。
Q:社会学科での学びを職場でどのように生かすことができていますか。
中部さん:答えるのが難しい質問ですね。学生の時には「教師っぽい教師にはなりたくない」と思っていたのに、小学校で子供たちと話をするときに、教師然とした対応をしてしまうときは反省の気持ちが強くなります。その時、学生の頃を思い出します。
橋野さん:法務教官として子供たちに接するときに、自分の主観だけに頼らず様々な立場や考えがあると想定して対応できるよう努めています。
前田さん:同じようなことですが、相談員として、相談に来ている人たちの立場で相談にのることを意識しています。
Q:大学生活を振り返り、やっておけばよかったことはあるか。
中部さん:当時は時間のある時にたくさん本を読んだつもりでしたが、今振り返ってみて、興味のある分野だけでなく、もっとたくさん本を読んでおけばよかったと思います。
橋野さん:今振り返れば、もっと遊んでおけばよかったと思います。現在の仕事は、時間の融通が利かず、友人と休日が会わないので、その点では友人たちと遊んでおけばよかったです。また、いろんなことに挑戦しておけばよかったとも思います。
前田さん:僕の場合は心理学を中心に授業をとっていたので、いろいろな講座や授業をもっと受ければよかったなと思っています。留学なども考えたこともあるのですが。今後できたらいいなと思っています。
入学前には長いと思っていた大学生活が、あっという間に過ぎ去ってしまったというのは、卒業生の皆さんが共通に抱く感想です。大きく変化しつつある社会ですが、社会学科では、4年間という在学中に、幅広い視野に基づいて自らの進路を考える機会の提供と同時に、将来にわたる皆さんの人生のサポートができればと思っています。
卒業生の皆さん、お忙しい中、ご登壇頂きありがとうございました。
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