新任のごあいさつ 田中 誠 講師



みなさま、はじめまして。
社会学科に新しく入りました田中  誠です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。少しだけ自己紹介をいたします。

 

〇研究分野について

専門分野:日本中世史(院政・鎌倉・南北朝・室町・戦国時代の歴史)

特に、室町幕府をめぐる政治史や制度史を、幕府に勤める官僚の視点から研究を進めています。一般では、鎌倉・江戸幕府に比べてなじみの薄い室町幕府ですが、近年では『週刊少年ジャンプ』で鎌倉末~南北朝初期に活躍した北条時行を主人公にした『逃げ上手の若君』の連載が続けられているほか、伊豆国・相模国(静岡県・神奈川県)の戦国大名となった北条早雲(伊勢宗瑞)を主人公にした『新九郎、奔る!』などのマンガも出始め、室町時代のおもしろさが広まりだしたと思います。

室町幕府がマイナーなのは、応仁の乱を起こしてグズグズになってしまったことや、太平洋戦争の前の時代には足利家が「逆賊」として極めて低い評価を与えられてきたからです。

私が室町幕府に興味を持ったきっかけは、最初は地元が一緒(栃木県)とか、一般に人気ないしやってみようかなという程度でした。そのうち、室町幕府って、グズグズな政権といわれていたのに、どうして240年も続いたのか?どんな仕組みで続いたのか?どんな人たちが幕府を支えていたのか?という疑問がわいてきました。そこで将軍を支える官僚に着目して研究を進めることにしたのです。最近では、室町幕府官僚による公文書の管理や彼らが残した史料の特質を検討し、幕府権力のあり方に再考を迫ることを目指しています。

今後は河内国(現大阪府東部)の地域史にも目を向け、楠木正成や河内守護畠山氏、中・近世における古墳の利用などにも目を向けていきたいです。

最近では、藤井寺市の道明寺天満宮を見学してきました。平安時代に学者から右大臣に昇りつめ、政争に敗れて九州に左遷された菅原道真を祭っている神社です。なぜここに菅原道真ゆかりの神社があるかというと、道真の伯母覚寿尼公がこの地の豪族であった土師氏(はじし)の出身であり、その拠点だったからと言われています。近鉄南大阪線「土師ノ里」はそうした由来に基づく駅名なのだと思われます。ほかにも当社には道真ゆかりの品々が伝わっており国宝に指定されています。このように大学付近には、古代から連綿と続く歴史を感じさせる場所が多数残されています。

 

〇担当授業

【夏学期】

・大学基礎演習Ⅰ ・基礎演習Ⅰ ・地域歴史文化演習 ・史料講読 ・日本史研究Ⅰ

【冬学期】

・大学基礎演習Ⅰ ・基礎演習Ⅰ ・フィールドワーク入門 ・日本史研究Ⅰ ・博物館実習A・C

史料講読の風景。古文書(私物)を広げたり、ある寺で入手した「牛王宝印」を手にもって史料の解説をしているところ。撮影のためマスクを一時的に外しています。

 

〇社会学科での抱負

どんな時代、どんなテーマに興味があってもOKです。歴史を学ぶことは、時系列でものを考えること、根拠となる史料を探し精確に読むことで、思考力を体得できると思っています。

そういえば、北条早雲(伊勢宗瑞)も江戸時代はただの浪人が戦国大名に成り上がったといわれていましたが、ちょっと前の研究で「室町幕府の高級官僚出身」だということがわかり、下剋上の典型といわれていた北条早雲像は崩れ去りました(『新九郎、奔る!』でも官僚出身となっています)。

このように、歴史像は研究の進展により塗り替えられていきます。暗記だけではない、歴史学のおもしろさを伝えていけたらと思います。

四天王寺大学の周辺には古代以来の、また四天王寺にも貴重な文化財が多数存在します。これらをめぐり、あわせて史料や本を読みながら、皆さんが歴史的なものの見方を身につける手助けをしていきたいです。

 

【関連リンク】

社会学科の学びについてはコチラ

四天王寺大学HP_教員情報_人文社会学部

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