「地域文化発信演習」の成果最終回:【おのれは知っとる?】「応神天皇陵古墳」と「誉田八幡宮」の関係



昨年度の新科目「地域文化発信演習」の成果:学生による「誉田(こんだ)八幡宮」についてレポートは、この5本目で最終回となりました「おのれは知っとる?」とは、河内地方の方言で「あなたは知っていますか?」という親しみをこめた呼びかけになります(ガラが悪いわけではありません)。誉田八幡宮と応神天皇との関係を中心に述べた、読み応えのあるものなので、ぜひご一読ください。

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四天王寺大学のある羽曳野市には、「応神天皇陵古墳(誉田御廟山(こんだごびょうやま)古墳)」があります。2019年に「百舌鳥・古市古墳群」の一つとして世界文化遺産に登録されました。応神天皇陵古墳は、古市古墳群の中では1番目、百舌鳥・古市古墳群の中でも2番目の大きさを誇ります。自分たちの通う大学の街に世界遺産があるって誇らしいですよね

さて、そんな応神天皇陵古墳の横には「誉田八幡宮」という神社があります。安産と厄除けの守護があるとして、広く親しまれている神社です。下の写真1が「誉田八幡宮」です。ご神木である橘の木が拝殿の左近を飾っています。

写真1 誉田八幡宮と橘の木

隣接している「『誉田』八幡宮」と「『誉田』御廟山古墳」……何か関係がありそうですよね。文化・歴史・観光を学ぶ日本学科生として、四天王寺大学の周辺地域のこの謎は見逃せません!

ということで、誉田八幡宮の宮司さんへのインタビューの中で解き明かすことができた、誉田八幡宮と応神天皇陵古墳の関係について、ふたつのポイントに分けて説明します。 

ポイント1:「御陵を守っている」

応神天皇は、皇室系図である『帝記』や宮廷物語である『旧辞』、あるいは『古事記』・『百済記』などによって、4世紀後半に実在した人であると考えられています。応神天皇の諱(いみな)は、誉田別尊(こんだわけのみこと)と呼ばれ、現在の羽曳野市誉田にゆかりがあるとされています。応神天皇陵古墳は、応神天皇の死去を知った人々が鋤鍬(すきくわ)を持って集まり、御陵を築いたと言われています。誉田八幡宮は、そんな応神天皇を主祭神としており、何百年もの間、応神天皇陵古墳を近くで守ってきました。

人々が鋤鍬を持って集まり御陵を築いたと言われるほどに厚く崇敬されていた応神天皇の古墳と、そんな御陵を古くから守っている誉田八幡宮。とても素敵な関係ですね……!

ポイント2:「御陵の祭祀を行っている」

誉田八幡宮では、毎年9月15日には秋の例祭が行われます。この例祭は応神天皇陵と誉田宮のゆかりの深さを物語る神事です。祭祀の内容は、誉田八幡宮に保存されている「塵地螺鈿金銅装神輿(ちりじらでんこんどうそうしんよ)」という神輿が、境内にある太鼓橋(写真2)を渡って御陵の後円部頂上にあった御堂までお渡りするというものです。現在は新しい橋で、御陵の外堤まで神輿が渡されています。古墳の傍でこのような祭事が行われることは他にはないことだそうです。

この祭事は800年間も続く伝統のあるものですが、新型コロナウイルスの影響により、2020年度も2021年度も行われていません。2022年こそは秋の例祭を見てみたいですね!

写真2 境内にある太鼓橋

これらのことから、誉田八幡宮は応神天皇陵を守り、応神天皇陵の祭祀を行うという役割を担っていることが分かりました。応神天皇陵古墳が世界遺産に登録されたのは、誉田八幡宮がこれまで御陵を守ってきたことも一つの理由かもしれませんね。

このように、四天王寺大学の近くには、古くから応神天皇陵を守っている由緒ある神社があります。このインタビュー調査を通じて、また一つ、地域の魅力を知ることができました。

日本学科では文化や歴史、観光などを学ぶインプットだけでなく、そこで学んだことを発信するようなアウトプットも行います。今回の調査では、他にも様々な誉田八幡宮の魅力を知ることができました。この記事を読んでくれた皆さんは、誉田八幡宮のどのようなところに魅力を感じるでしょうか?また、その魅力をどのように発信することができると思いますか? このようなことを考察するためにも、ぜひ誉田八幡宮に訪れてみてくださいね!

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授業を受講し、その成果としてブログ記事を執筆してくださった皆さん、ありがとうございました。

現在、今年度の「地域文化発信演習」の授業がはじまり、新しいメンバーが課題に取り組んでいます。その成果についても公開する予定ですので、楽しみにしていただければと思います。

【関連リンク】

▼「地域文化発信演習」の成果
その1:誉田八幡宮の「特別」とは? 放生橋から歴史を見る
その2:羽曳野の宝、そして日本の宝、誉田八幡宮の「特別」とは?
その3:国宝って結構身近!?
その4:歴史から見る誉田八幡宮について
最終回:【おのれは知っとる?】「応神天皇陵古墳」と「誉田八幡宮」の関係

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