夏の博物館実習[後編]
2022年9月5日
夏休み期間、6日間にわたって実施される博物館実習のうちの3日間の集中実習が実施されました。前編に引き続き、最終日、3日目の実習の様子をご紹介しましょう。
2日目に行われた仏像調査実習では、仏像の資料用写真撮影の基本を学び、輸送のための梱包技術講習も受けました。
3日目の前半は、その講習内容を実践する仏像輸送のための梱包実習です。梱包する仏像をじっくりと観察し、どこに注意して、どのように保護すべきか、今の時点で何か問題がないのかなどをチェックしていきます。
そして、保護すべき部分を丁寧に保護し、輸送時に損壊することがないようにしっかりと安定させながら輸送箱に納めて、実際に運んでみるという実習を行いました。
この後、博物館における教育普及活動や広報活動の実際についての講義を受けます。これは、冬学期に、実習生たちが大学内での展示実習を行う際に、どのように自分たちの展示を広報するのか、また、教育普及活動としてはどのようなことができるのかを考える場ともなりました。
この冬学期には、実習生たちが自分たちで企画し、展示を作り、それを大学内外に公開するという実習が展開されます。今年度の展示テーマは、「聖徳太子絵伝」と決まっているのですが、それをどのような展示にするのかは、これから、実習生たちが決めていきます。
午後の実習ではまず、学芸員の先生から、冬学期の展示実習のための概論として「聖徳太子絵伝」についての講義を受けました。
そして、最後に大きな山が……。
冬学期の「聖徳太子絵伝」をテーマとした展示計画を立てるための基礎的な作業として、夏休みの間に、『聖徳太子伝暦』と「聖徳太子絵伝」のそれぞれに課題として課された部分を分析し紹介するという宿題があり、その内容についての個人プレゼンがあったのです。
実習生がそれぞれに調べてきた内容をプレゼンすることで、基本的な情報を全員が共有した後で、冬学期の展示実習はどのような展示にしたいのか、何について伝える展示としたいのかをグループで、話し合いました。もちろん、短時間ではまとまりませんので、これは、冬学期の最初の授業までの持越し課題となりました。
最後に、日本学科を卒業し、学芸員資格を活かして四天王寺の文化財を管理する部署に就職した先輩から、学内展示実習についてのアドヴァイスを受けました。
集中実習が済んでやれやれと思う間もなく、次の学内展示実習に向けての課題が山積みという状態に、実習生たちは少しショックを受けた様子でしたが、学芸員として働くとなれば、いやいや、社会人として働くとなれば、日々この状態が続くのです。
冬学期の学内展示実習に向けての作業は、展示技術だけでなく、期日までに必要な作業をやり遂げるためのスケジュール管理のノウハウも学ぶ場となります。頑張ってください。
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