日本学科の「共育」活動――「和の精神」でつながる多文化共生社会の実現に向けて



「共育(きょういく)」という言葉をご存知でしょうか。「共育」とは、『デジタル大辞泉』(小学館)によると「親・教師・学校など教育権を持つ主体だけでなく、多様な立場や領域の人や組織が連携して教育を担うこと、あるいは教育・養育・指導を行う側と受ける側がともに学び成長すること、などを意味する造語。」と記されています。つまり、学生の教育を大学だけではなく、様々な場所や機関で行っていく、そして、教える側、教えられる側双方がともに学び成長する、ということですね。

今回は、日本学科の「共育」活動をご紹介しましょう。日本学科では、日本語を母語としない人への日本語教育に必要な知識と技能を学ぶ「日本語教員養成プログラム」を開設しています。プログラムを履修している学生5名が、藤井寺市内で日本語教室を開設されているMさんのお宅で、外国につながる児童や技能実習生などの外国籍の方々に対して週に1回日本語指導ボランティアを行っています。

学生たちは、開始1時間前には教室に行き、指導の打ち合わせをするなど、とても熱心に取り組んでいます。

上の写真は実際の指導の様子です。学生たちはそれぞれ担当を決め、個別指導のかたちをとって指導しています。日本語指導ボランティアの学生も日本語学習者も熱心に取り組んでいて、傍らで写真を撮る報告者に気づかないほどの集中ぶりでした。

日本語指導ボランティアの学生たちに、日本語指導ボランティアの感想を聞いたところ、次のような声が寄せられました。

「授業で学んだことを実際に生かすことができておもしろい。貴重な経験」

「日本文化の説明をしていくと、自分が知らないことに気が付いた。日本語学習者の文化のお話を聞くのが面白い」

「(外国につながる児童に対しての日本語指導について)ただ日本語の意味・表現を教えるのではなく、深いところまで教える、というのが難しくて面白い」

日本語指導ボランティアの学生たちは、日本語指導を通して、「実践的な日本語指導の方法」「客観視した日本文化」「生の多文化」等様々なことを学んでいると言えます。対して、日本語学習者の皆さんは、日本語指導ボランティアの学生の説明を一言も聞き洩らさないように大変集中して取り組んでいました。報告者としては、外国につながる児童・生徒の集中した顔と笑顔がとても印象的でした。

日本語教室の学びは、日本語で日本人・日本社会とつながった時間であり、充実した時間であることが窺えました。日本語指導ボランティアの学生も日本語学習者双方が学び合い、成長していると感じました。まさに「共育」でした

近年は様々な人々が共生する「多文化共生社会」に向かっています。Mさんの日本語教室での指導経験は、その多文化共生社会において活躍するうえで重要な強みになるでしょう。日本語教師や国語教師として働く場合はもちろんのこと、どのような仕事を行う場合でも「共育」の素晴らしさを知っていれば、それが大きな力になります。このような貴重な場をご提供してくださったMさんにこの場を借りて心より御礼を申し上げます。

日本学科では「日本」を様々な観点から学びます。みなさんも変化し続ける「日本」を理解し、様々な人々とつながり、「日本」を発信してみませんか。日本学科はみなさんが多文化共生社会の担い手として活躍することを応援しています。

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