よりよいコミュニケーションができる自分をめざして――「パフォーマンス実践演習」[前編]
2021年9月10日
日本学科の集中講義「パフォーマンス実践演習」が、夏休み期間中の8月27日、28日、30日、31日の4日間で行われました。
この科目は、将来教壇に立つ教職を目指す人や、社会人としてよりよい協働ができる力を付けたいと考える人を想定し、それらに必要な力が身に付くようにと設定されています。内容は、ヴォイストレーニング、口頭表現、身体表現の専門家を講師として招き、講義の聴講および課題実践に取り組みます。それらの学びを踏まえて、最終課題として、「他者への理解」や「コミュニケーション」を取り扱ったパフォーマンスをグループで創作して発表することが課されます。「声をしっかり出してパフォーマンスを行い、他者にそれを見せることを通じて、他者とのコミュニケーションについて理解を深めるとともに、そうして得られたものを主体的かつ実践的に表現しながら行動できるようになる」というのが到達目標です。
受講生たちは、各日、朝から夕方までのみっちり4コマ、歯応えあるトレーニングや活動に取り組みました。今回は4日間の前半2日間の様子をご紹介します。
コロナ禍の下、感染予防に細心の注意を払いながら第1日目が始まり、ヴォイストレーニング2コマ、身体表現2コマが行われました。ヴォイストレーニングの授業では、発声や呼吸に関わる身体の諸器官のしくみや呼吸法について学び、効果的にそれらの器官や筋肉を使うためのストレッチや、息の使い方、ブレスコントロールのためのエクササイズに取り組み、母音を明瞭に発音するための口構えなども学びました。
身体表現の授業では、他者との適切な距離を保ちつつ空間を適度に埋めながら歩く、ペアでの自己紹介を基にした他者紹介のプレゼンテーション、多人数間で複数のボールと共に言葉も受け渡すキャッチボールなど、言葉及び身体を使う種々の活動に取り組みました。これらを通じて、目線や身振り、姿勢、(マスクで見えにくいが)表情の重要さ、コミュニケーションは言葉だけで行われるものではないこと、コミュニケーションにおいて自分は発信者であるだけでなく、受け取る方でもあることを実感しました。そこから、言葉を発する際は受け手を意識した気遣いがいかに重要かという気づきにも至りました。
この日の4コマの授業を通じて受講者たちが打ち解け、しっかりコミュニケーションが取れる良い雰囲気になったのですが、ここで、非常に残念ながら、感染力の強いデルタ株ウィルスへの懸念から、2日目以降は対面授業および学生の登学を避けてオンラインで授業を行うことになりました。
第2日目は、身体表現1コマ、口頭表現(話し方)2コマ、創作パフォーマンスのためのグループワーク1コマが行われました。例年であれば、同じ場に集い、のびのびと身体を動かし、互いの表情や声をつぶさに見聞きし、時には触れ合いも交えながらの活動が行えるところなのに、それらを封じられてオンライン授業で一体どれだけのことができるのか?と、講師・教員側は心配しつつ、手探りでの2日目スタートとなりました。しかし、中継の際の映像や音声面への配慮やWEB会議システム使用上の工夫、急な変更に応じていただいた講師の方のご尽力、また受講生の理解と積極的な取り組みもあり、制限がある中でもほぼ例年通りの内容を行うことができました。
口頭表現では、「伝わる声とは?」「耳を働かせる」「発声で大切なこと」、姿勢、腹式呼吸、口の開き方などについて学び、各種の課題実践に取り組みました。受講者それぞれが最初に想定した、話し方やプレゼンテーションにおける目標に、少しは近づけたでしょうか?
そして本日から本格的に創作パフォーマンスのためのグループワークに取り組みました。前日に、各人は演じるべきキャラクター(人間に限らない、というより人間でないものが多い)のいわば外側だけを与えられ、その肉付けのための詳しいプロフィール作成が課題となっていました。今日はオンライン越しのグループワークで、それぞれのキャラクターを活かしつつ、コミュニケーションをテーマにしたパフォーマンス創作の第一歩に踏み出しました。
今年は、最終発表を披露するのも分割された画面上の限定されたスペース内で、という非常に難しい条件が加わっています。本日の段階ではどのグループもそういう「見え方」「見せ方」に気を配るまでにはほど遠く、ストーリー作りで手一杯……という様子で、短い成果発表後、講師・教員陣からは容赦のない批評、と同時にアドバイスも多くありました。はたして各グループ、2日後の最終発表までに作品を完成させられるのでしょうか? そればかりでなく、今日の口頭表現授業で課された宿題もあります。かくして2日目は終わりました。オンライン受講でも受講者のみなさんは相当くたびれたことと思います。この次の日は日曜日でしたのでしっかりと課題にも取り組みつつ、リフレッシュもできました。[後編に続きます]
【関連リンク】

