公開講座 (第3回)~古くて新しい和食の知恵~



平成30年度短期大学部 公開講座 温故知新 ~暮らしのヒントを見つけましょう~

 本学では生涯学習事業の一環として公開講座を開いています。
本年度、専攻が各分野の古くて新しい知識に注目し、現代の私たちの生活に活かすヒントを4回シリーズで開催します。

第3回は、ライフデザイン専攻フード担当の谷口美佳先生による
~古くて新しい和食の知恵~ です。

 平成25年にユネスコ世界無形文化遺産に登録された「和食」には、多様で新鮮な食材とその味の尊重、健康的な食生活を支える栄養バランス、自然の美しさや季節の移ろいの表現、正月などの年中行事との密接な関わりといった特徴があります。

 例えば《おせち料理》。歳神様にお供えし、新しい年の幸せをお願いするお料理です。お正月にふさわしい華やかで美味しいご馳走ですが、それだけではありません。使われる食材や飾り切りなどの調理には先人の知恵と技術が詰まっています。また、五穀豊穣や家内安全、子孫繁栄など、お料理に込められた願いがあります。これこそが、日本の食文化と言えるのではないでしょうか。

  「和食」は欧米の食事に比べ動物性の脂質が少なく、栄養バランスの良い健康的な食事です。その良さや美味しさを支えているのが、鰹節、昆布、椎茸などからとる「だし」です。「和食」で少し注意の必要な塩分についても、「だし」を上手に利用し減塩することができます。また、「だし」には過食予防効果や疲労回復効果もあることが分かってきました。

 ところが、最近は「面倒臭い」「時間がない」「やり方がわからない」などの理由から、自分で「だし」を取る人が減り、手軽な「風味調味料」を使う人が増えています。忙しい日常では、便利で簡単なお助け調味料も魅力的ですが、健康に良いこといっぱいの「だし」を、時には手作りしてゆっくり味わってみませんか。なんだか懐かしくてほっとする「だし」の味や香りを、食文化として次の世代に伝えたいものです。

 

~受講生の方々から、このような感想をいただきました~

・世界無形文化遺産に登録されている「和食」に込められた意味を改めて見直す良いきっかけになったと思います。

・若い世代だけでなく、我々シニア世代も旨味調味料に関しては楽な方を選びがちです。味だけではなく文化の事を考えると、伝えることの大切さ、イコール日常に接する大切さがよくわかりました。もっと「だし」を使いたいと思いました。

・私の世代はインスタントだしやインスタント食品を使う時に後ろめたく思うことが多いです。無形文化遺産登録の意義をしっかり理解し、次、次々世代に「うま味」の本来の姿を伝えていきたいと思います。

・私自身もいつの間にか粉末だしを使うようになり、少し反省しています。孫たちにも和食の良さを教えていきたいと思います。今年もお節がんばります。

・働く女性が多くなって簡単に食べれる物と考え、お袋の味と言うのが残されなくなって来つつあります。子供たちに沢山和の味の物を食べさせて伝えて行ければと思います。

・自分は自然のだしと、化学調味料のだしを舌で感じるけれど、子供や孫が心配。体調・時間等臨機応変に使い分け、自然のうま味を手作りしようと思いました。

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