『コリアタウン』フィールドワーク
2022年12月27日
原 順子ゼミ(人間福祉演習Ⅱ・Ⅳ)の学外活動として、3年・4年次生が大阪市生野区にある「コリアタウン」を訪問しました。フィールドワークではコリアNGOセンターの方に、鶴橋商店街、コリアタウン、新平野川の順で案内していただき、歴史など様々なことを教えていただきました。
【鶴橋商店街】
鶴橋商店街には、鮮魚列車が通っています。鮮魚列車とは、近畿日本鉄道が運行していた行商のための団体専用列車、所謂、行商専用列車、鮮魚電車ともいわれているもので、1963年~2020年まで57年間運行され、伊勢湾の海産物を都市に届ける役割を果たしていました。
その後継として2020年3月16日より運行開始したのが「伊勢志摩お魚図鑑」と呼んでいる鮮魚運搬車両です。現在は平日ダイヤ適用日の早朝に松阪駅から大阪上本町駅への一般列車の最後部(松阪側)に当該車両を1両繋ぎ、新しい鮮魚運搬専用列車として運行を開始しており、鶴橋の鮮魚はおいしいとのことです。
(参考文献:近畿日本鉄道)
【コリアタウン】
以前は朝鮮市場と呼ばれていて、在日韓国人や朝鮮人にとって食材・日用品などが揃う、生活に寄り添った場所であったことを学びました。次にコリアタウンに入ってすぐのところにある御幸森天神宮(みゆきのもりてんじんぐう)に行きました。御幸森天神宮には、仁徳天皇が趣味の鷹狩りや百済人と交流するためにしばしば行幸(御幸)し、度々この地の森で休息したことから“御幸の森”と呼ばれるようになったと教えて頂きました。
商店街をまわっていると至る所にキムチやチヂミなどが売られており、韓国人、朝鮮人の人たちにとっていかにキムチが生活の中で馴染み深いものなのかを知りました。
【ヘテ】
ヘテは門前や殿前の両側を対で守る霊獣で、容姿は日本の狛犬と似ています。しかし、ヘテは口が閉じているので、口が開いている狛犬とは違うことが分かりました。
【平野川】
コリアタウンは、もともと御幸通商店街・御幸通中央商店会・御幸通東商店会(各商店街で経営者が日本人・在日コリアン・来日した韓国人)の3つに分かれていました。そのため、商売敵として関係が悪かったらしいですが、現在は1つの法人になったことを教えていただきました。
そして、現在の平野川は大正12年に新しく作られたもので、平野川と呼ばれるまでは、奈良朝より平安朝にかけて百済郡が置かれ、その中央を流れていたことから百済川と言われていたことを知りました。
【ハングル講義】
まず、TWICEの「TT」の歌詞の一部「이런 내 맘 모르고 너무해 너무해(気づかないふり、やめて、やめて)」を歌えるようになるところから始まりました。次に、基本母音、子音を習って自分の名前を書けるようになりました。最後に挨拶や大丈夫、ありがとうなどを教えていただきました。
【キムチ作り体験】
白菜一枚一枚にヤンニョムを塗り込む最終工程を体験しました。そして、普段食べているキムチを作るまでに、多くの時間・手間がかけられていることを学びました。最終工程までに3日間(白菜の下漬け・ヤンニョム)もかかっており、この工程は機械ではできなくてすべて手作業で行っているため、材料が同じでも手の温度や塗り込む力で味が変わることを知りました。このことから、全く同じキムチはできないということが分かりました。できたキムチは2,3日置くと食べ頃になり、1週間で酸味が出て料理とかに使うとおいしいと教えていただきました。
【コリアタウンフィールドワークを通して】
今回のフィールドワークでは、コリアタウンや在日韓国人の方の理解を深めることができました。特にフィールドワークで印象に残ったことは、現地の韓国人の方が、今の韓国には自分たちの帰る場所がないと仰っていたことです。最近では、K-Popや食べ物やファッションなどを好む人が増え韓国ブームがきていますが、まだまだ日本では韓国への差別、偏見は無くなっておらず、そんな中で生活することは嫌な思いをすることも多くあるだろうと思いました。そして、来日した人だけが日本の文化や歴史を学ぶのではなく、日本人も韓国朝鮮の文化や知識を学ぶことで、結果として日本の文化を知ることにもつながると感じました。多様性を認め合うためには、相手のことも自分のことも『知る』ことが大切であると改めて感じ、在日韓国人の方々が過ごしやすい環境にしていくには、お互いが理解を深めていくことが重要だと学ぶことができました。
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