福祉施設の現場から ~実習指導特別講義~



健康福祉専攻では、「福祉の現場」で学ぶ「実習」を重視しています。
1年生で半日間の見学実習を行い、2年生では11月に2週間の現場実習を行います。その事前学習として、現場のイメージや実習の心がけなどを学ぶため、毎年、社会福祉施設の職員の先生方をお招きして、一連の特別講義を実施しています。

 

「児童福祉分野」からは、児童養護施設・羽曳野荘の施設長である中條薫先生にご講義いただきました。

児童養護施設は、親から虐待を受けたり、親が病気のためだったりと家庭で暮らせない状態にある子どもたちが、親元から離れて共同生活をしている施設です。羽曳野荘の実際の子どもの様子や、職員の子どもと関わる姿勢、実習生に求められる態度などについて、現場からの生の声やご自身の経験を交えながらご講義いただきました。

(学生の感想を少し紹介します)
施設に入る理由で多くなっている児童虐待について聞き、このようなことが現実に起こっていることにとてもショックを受けた。同時にこのようなことが起きた際は、子どもをしっかり救い、守りたいと思った。
私が子どもの頃に受けた周りの影響によって今の自分になっていることを考えると、子どもと深く関わる職員には相当な責任があるのだと改めて感じた。

 

「高齢者福祉分野」からは、四天王寺悲田院特別養護老人ホームの上田裕一先生(介護長:スタッフリーダー)にご講義いただきました。

特別養護老人ホームは、常時介護が必要な高齢者が生活する施設です。四天王寺悲田院では、入浴や食事などの支援をするだけではなくて、旅行やクッキング、レクリエーションなど満足感につながるような工夫を大切にしていることや実習に向けての心構えなどについて、自身の体験も交えながら語っていただきました。

(学生の感想を少し紹介します)
介助や寝たきりの方などの支援は、普段取り組んでないので実習に行くと大変そうで不安を感じた。しっかりと勉強していこうと思った。
今回の講義を聴き、少し高齢者方面に進んでみたいと感じた。利用者さんに本当にしっかり寄り添って、共に歩んでいる上田先生をすごいと思った。
「利用者さんの人生の最後をつくる所」という言葉を聞いて、悲しい施設というイメージから前向きな施設であるというイメージに変わった。残された時間をどのように過ごせば幸せなのであるかを、職員全員で考えている施設である。

 

「障がい福祉分野」からは、社会福祉法人なにわの里の梅林直生先生と中林英梨先生にご講義いただきました。

なにわの里は、障がいをもつ人の生活を支える複数の施設を運営しています。個別支援、自立支援、地域生活支援という3方針を掲げ、障がいをもつ人や子ども、ご家族の方からの相談に応じています。言葉で想いを伝えることが難しい利用者が多くいる施設で、イラストカードや、スマホのアプリなどあらゆる方法を工夫しながら意思の伝達を図っていること等をご紹介いただきました。

(学生の感想を少し紹介します)
利用者さんの求めていることを分析する考察力や、チームで支援に取り組むことの意味や大切さを知ることができた。
心に残った言葉が、障がい分野は「わからない」という魅力があるということだ。支援の種類はたくさんあり、これが正しいというのはなく、自分で支援の仕方を見つけ作り上げていくのが大切だと感じた。
なにわの里では、あらゆる場面で多くの人たちと上手に連携をとっていると感じた。社会福祉士になると連携は必要となる技術なので、しっかりと身に着けたいと思った。 

 

受講した学生の皆さん、色々と考え込んだみたいですね。

ぜひとも、今後に生かして欲しい内容の特別講義でした。

 現場の先生方、具体的で分かりやすいご講義をありがとうございました。

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