教育学部 教育学科 幼児教育保育コース
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保育者になるために、今、必要なこと~現役教員の話から学ぶ~

 教育学科ではすべてのコースで、大学での学びの基礎を培うとともに大学生活を有意義に過ごすために、1年生で「大学基礎演習」という科目を履修します。学びの基礎として講義ノートのとり方、専門書の読み方(リーディングスキル)やレポートの書き方(ライティングスキル)などの授業を受ける一方で、大学生活に早く慣れるために、先輩学生から大学生活についての経験談を聞いたり、大学入学前から持ち続けている夢を実現するためにはどうすれば良いのかなどを考える(キャリアデザイン)ヒントになるように、現役教員からお話を伺う時間も設けています。

 7月11日の「大学基礎演習」では、「現役教員の話から学ぶ」というテーマで京都市養正保育所の保育士である湯谷道雄先生と幼稚園教諭(現在は伊丹市教育委員会)である樹山尚美先生に、保育者の役割、子どもや保護者との関わり方や保育者という仕事のやりがいなどについてお話を伺いました。

 1.「保育の現場で大切にしたいこと」(湯谷先生) 

 湯谷先生が勤務しておられる養正保育所は200名ほどの子どもがいて、支援を必要とする子どもや、海外からの留学生の子どももいる保育所です。
 保育士として子どもと関わるなかで、「保育の現場で大切にしたいこと」について、以下の四つの観点から話してくださいました。

 

①「共感って大事やなあ」
 例えば、子ども同士がけんかして、相手を叩いたとします。人を叩くという行為は許されないけれど、その裏にある心情に気づくことが大切です。「先生は自分のことをわかってくれる」と子どもに思ってもらえれば、子どもとの信頼関係を築くことができます。
 子どもの心情に寄りそえる保育者になること。これは、保護者や同僚との関係にも言えることです。

②「正しさはさびしいな」
 正しいことは大事だけれど、正しさだけ求められ続けるとしんどいものがあります。子どもは素直で、大人が言うことを素直に聞いて無邪気に頑張るものです。しかし、大人の言うことを全て聞く子は、自分の思いを心にため込んでしまうので、実は一番危ないとはなされました。
 正しさ(ルール)を守ることを押しつけすぎるのではなく、心のストレスを発散させてあげることが大切です。
 そのためには、「自分の気持ちを出させること」に加えて「遊びこませる」ようにしておられるそうです。

③「保育に違和感を感じた時」
 時には、園の方針と自分の考えが異なることもあります。そんな時は、自分の保育力を高めるチャンスだと発想を転換してみましょう。諦めず、自分の思いを回りの人々に語ることで仲間を増やすなど、少しずつ努力してゆくことで自分の理想とする保育に近づくことができると話されました。
 自分の思いだけを通すのではなく、人の話にも耳を傾け、自分を変えることはできる」の精紳で頑張りましょう。

④「子どもも大人もワクワク、ドキドキ」
 保育士は子どもの思いをつなぐことが仕事です。子どもの思いを語り、人々の協力を得ることで、拡がりのある保育ができます。
 そのような保育士になるために、大学生の今できることは、講義を聞いて勉強するだけでなく経験が大切です。
 これからの様々な経験が、保育に生きてくるので、大変なことほどやってみましょう。
 子どもに「生きる力」を与えるためには保育者が生きる力を養う必要があります。
 安全面を重視するあまり、保育の室内化が言われていますが、自然を通して心揺さぶられる体験をさせてあげましょう。
 そのためにも、遊び心をいつまでも持ち続け、自然を楽しめる大人になってください。失敗を繰りかえすなかで、悩み、考え、豊かな智恵を身につけてください。
 人として育つ根っこの時期に関わることができる保育士は大変なこともありますが、本当に幸せな仕事だと思います。

 2.「幼稚園教諭に必要なこと」(木山先生) 

 木山先生は、長年、伊丹市の幼稚園教諭として現場でご活躍された後、現在は、伊丹市教育委員会で幼稚園教育のカリキュラムを策定しておられます。先生の長年の経験から、大学時代の実習経験を含めた学びと実際の幼稚園生活の違いや大学時代にしておくべきことについてお話くださいました。

 

①「実際に先生として幼稚園に勤務したら・・・」
 実際に先生になって幼稚園生活が始まった時に、それまでの大学時代に経験した現場実習と異なっていたのは当然のことですが、毎日の保育プログラムをつくらなければならないこと、新人であってもクラス担任として、一人でクラスの園児全員を見なければならないことが大変でした。
 試行錯誤の毎日で、同僚の先生方に助けて頂きながら勤務されていたそうで、正直なところ、最初の5年間はしんどいです。それでも、子どもと関わるうちに、子どもの心に気づくことの大切さ、教えるのではなく子どもと一緒に遊び考えること、何事も子どもと一緒にすることの大切さを学ぶことができました。
 また、先生に対してマイナスイメージを頂かせないようにするのも大切なことです。
 幼稚園の先生というのは責任の重い職種ではあるけれども、それだけにやりがいのある仕事であるとも言えます。

②「保護者対応について」
 昨今は、子育てに悩む親も増えているので、保護者支援も大切です。幼稚園での子どもの姿を保護者は知りません。逆に、家庭での子どもの姿は先生にはわかりません。保護者と保育者が互いに、子どもの姿を教えあうことで相互の信頼も生まれてくると言えるでしょう。
 また、クレームを言う保護者も増えてきていますが、そのような保護者は自身が悩みを抱えている場合が多いです。
 保護者自身が先生に話を聞いて欲しいと思っている時は、ただひたすら保護者に寄り添うこと、保護者の話を傾聴することで援助できるとも話されました。ただし、保育者がひとりで抱え込まず、上司や同僚の先生にも相談し保護者の悩みの解決策を一緒に考えていきましょう。

③「大学時代にできること」
 社会に出る前の学生時代こそ、多くの人と出会い、協力して何かを成し遂げる経験を積んで欲しい。また、今後予想されるAI時代になっても、一生懸命に頭を使う、ものを作る、身体を使う、人と関わることは忘れてはならないし、また、保育者になった時、そうした機会を子どもにも与えてあげることが大切だとアドバイス下さいました。
 また、先生ご自身の採用試験の経験にも触れられて、他者の言うことに流されず、自分の考えや意見をしっかり持つことや感性を大切にするようにと話されました。

 

先生方のお話を聞いた学生の感想をいくつか紹介します

  • 「子どもの発想力を引きだせる保育者にならないといけない。そのためには、保育現場での体験とともに、今後の実習にむけての目標設定が必要だと思いました。」
  • 「今日の話を聞いて、まず、子どもを見守ることが大切だと改めて学びました。また、保護者についても、クレームを言うのは、実際には助けを求めているのだとわかりました。少し見方を変えることが大切だと思いました。今の私に足りないのは臨機応変に対応する力だと思うので、4年間で対応力をつけていきたい。」
  • 「自分のしたい保育をするには、周りに相談したり資格をとるなど、すぐに諦めず努力することが大切と聞き、子どものことを第一に考えることが大切だと思った。また、保育者は子どもと関わるだけの仕事ではなく、保護者の方々との連携も大切だと感じた。今の自分は、正さだけを求めて人に押しつけてしまいがちだが、それでは子どもの気持ちやサインに気づくことができないことがわかった。」

 お二人の先生のお話には共通する部分も多くあり、「いい保育者」になるために必要なことや保育者のやりがいについて改めて考えさせられました。
 先生方のお話を聞いて、学生も「いい保育者」のイメージをより具体的に考えると同時に、この4年間でどのような力を養うべきかを考える良い機会になりました。

 

【関連リンク】

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