石原田先生の英語の語源の四方山話:その4
2016年1月15日
石原田先生の | ![]() |
英語の語源の四方山話 !!! |
本来語の「7」~「10」に関して
英語の本来語の語源については今回が最後です。「8」と「9」は割愛し、主に「7」と「10」に関連するお話をします。
「7」はseven ですが、発音は six よりも難しくなり、[sevn] ですね。うまく発音できますか。
語尾で子音が連続し、しかも [v] と [n] は有声音で、発声の方法が異なるため。[-vn] は本当に言いにくくなります。ですから、母語話者でもしばしば [sebm] と言います。
[b] と [m] はどちらも唇を合わせて発音する音なので言いやすいからです。かつては seven を sen と言うこともありました。その名残が現代英語の sennight 「一週間」に見られます。sevennightが短縮したものです。
ゲルマン民族であったアングロ・サクソン人は日数を day ではなく、night で表しました。年数は季節のうち winter で数えたのです。昔の北欧は夜も冬も越すのが大変だったからこそ重要視されたのだと思われます。
sennight の次は fortnight「2週間」です。fourteen が略されて fort- となっています。seven night, fourteen night、それぞれ早口で言ってみてください。分かりましたか。つい、略してしまいますよね。そのようにして現代の形に変化してきたのではないでしょうか。
さて、少し脱線しますが、現代英語には面白い表現があります。ほんの束の間のことをmicrofortnight と言うことがあります。micro- は「ごく微小・微量」を表し、数字では「百万分の1」を意味します。microfortnight と言えば、「2週間の百万分の1」ですから、約1.2 秒のことであり、一般に「1秒」の同義語として使われます。おおげさで、しかも可笑しい表現ですね。
「7」を表す外来の接頭辞には hepta-、sept- などがあります。なお、冒頭で申したように、「8」と「9」に関する本来語で興味深い言葉を思いつきませんので、割愛します。
次に「10」に関するお話です。本来語の「10」は ten ですね。これは thirteen などの -teen と語源は同じです。teen 「十代(の人)」はteenager の語頭を採って新しく作られました。英語のteenager とは -teen の付く年代を意味しますので、thirteen からnineteen までを意味し、ten, eleven, twelve は含みません。ですから、厳密に言うと、「10代」ではないわけです。
因みに、eleven というのは「(10と)1余り」(e ‘one’ + leven ‘left’)が語源です。同様に、twelve というのは「(10と)2余り」(twe ‘two’ + lve ‘left’) という語源です。ところで、かつてtithe 「10分の1(教区)税」という教区税があり、イギリス国民は年収や収穫の10分の1を教会に納めていました。
元はteotha と言って「10番目、10分の1」を意味しました。「10」を表す外来の接頭辞には deca-, decem- などがあります。
次回からは外来語の場合についてお話しします。

