空海直筆書の拓本報道について



本学所蔵の「恩頼堂文庫」に空海の直筆書の拓本が見つかりました。インターネット上で平成30年6月6日、新聞では、6月7日の朝刊で報道していただきました。

高野山大学密教文化研究所の大柴清圓研究員による研究発表です。対象となった本学の資料は、「弘仁五年三月一日弘法大師上表」(整理番号:1425【註1】)です。長さ239.9cm、幅27.8cmの巻物一巻で、徳川中期の拓本とみられます。
この拓本について、嵯峨天皇から空海が綿や七言詩を贈られた返書であり、筆跡が弘法大師の真筆であるとの、大柴氏のご見解でした。
本学の「恩頼堂文庫」には、「高野大師真蹟書訣」(整理番号:1390)、「大師流秘事」(整理番号:1369)など、江戸時代に流行した大師流書道【註2】の資料が一群をなしており、当該資料も、大師流の資料の一つとして、保管・所蔵しておりました。
ご研究に活用していただきましたことを光栄に存じます。今後の調査に期待いたします。

【註1】本学所蔵の「恩頼堂文庫」は、猪熊信男氏の蔵書(恩頼堂文庫)のうち、本学所蔵分を『四天王寺国際仏教大学所蔵 恩来堂文庫分類目録』(2003年3月31日)として、改めて悉皆調査を行い、確認されたものを含め、閲覧の便に供するものとして目録を刊行しています。整理番号は目録によるものです。
【註2】弘法大師空海を祖とする書道の流派で、室町末期に成立し、江戸初期頃に「大師流」と称されました。空海の書法を伝授し、空海の書風から特色のある書風を形成したとされています。

 

 

 

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