人文社会学部 社会学科 -最新情報-

南大阪産ぶどうとワインの可能性を考える~授業「社会調査実習」の取り組み~②

(社会学科:前回の記事①から続く)

 

冬学期には非常事態宣言が明けたこともあり、本授業のご担当者の一人であり、社会学科の授業を支援して頂いている田中清隆先生のコーディネイトの下、また、本学が立地する羽曳野市でぶどう農家とワイン醸造所を営んでおられる堂崎農園並びに仲村わいん工房のご協力の下で、マスクや頻繁な消毒など、十分なコロナ対策を実施したうえでの巡検を行いました。


当日の巡検ルート(田中清隆先生作成)

 

国産のぶどうと言えば、山梨県(2019年出荷量1位)や長野県(同2位)が有名で、大阪府(同7位)のぶどうは全国的にはそれほど著名ではないかもしれません。しかし、大阪府でのぶどう生産の歴史は古く、明治時代の1870年代から南大阪で栽培が始まり、1920年代から30年代にかけては栽培面積で全国1位になるほどぶどう栽培が盛んに行われていました。

ワインの生産については、現在は梅酒の生産で全国的に有名なチョーヤ梅酒株式会社(本社羽曳野市)も1924年にぶどうの醸造を開始し、また、1934年にはサントリー道明寺工場(羽曳野市に隣接する藤井寺市)が操業を開始するなど、ワインやブランデーの生産も古くから行われてきました。現在では大阪府全体で6軒のワイナリーが稼働していますが、そのうちの3軒は羽曳野市に立地しています。

ぶどう生産 イノシシ除けの苦労と工夫について

羽曳野市を含む南大阪の地は比較的温暖で雨が少なく、日本全国の中でも、ぶどう栽培に適した地だといわれています。しかし、ぶどうの棚下に入って上を向いて行う作業は重労働で、特に収穫の時期は深夜から作業を開始するなど、ぶどう栽培は大変な仕事です。さらに、毎年変化する気候が味に影響をもたらし、ぶどうを好む虫や動物の対策も必須のものとなります。こうした状況の中で、生産者の皆さんは、それぞれが試行錯誤で工夫を凝らしつつ、同時に、よいアイデアを他の生産者との間で共有するなど、地域内でのお互いの協力により、高い品質を維持しています。

ぶどう生産 棚下での作業について

仲村わいん工房の醸造工程の見学

大阪産ワインは、かつては生食用ぶどうの副産物のような位置づけで生産されていたため、長い歴史に比して、あまり高く評価されたものではなかったといいます。しかし、現在は世界各国から輸入される安価なワインが流通する消費市場の中でも、一段上のレベルのワインとして、決して他に負けない地位を作り上げています。そこには、他分野で知識や経験を積んだ方々が、各人の経験を活かしながらぶどうの生産からワインの醸造、ラベルの作成まで一貫して参画し、大都市に近接するという立地を生かして、消費者と深く相互交流する中で作り上げた深い味わいがありました。

仲村わいん工房のワインの試飲(飲みすぎ注意)

 

日本の他の農業地域と同様に、南大阪地域でも後継者不足は深刻な問題になっています。しかし、消費者の嗜好に対する深い理解や、多様な形で生産を支える人々のあり方など、大都市に隣接しているからこそできる、知識、経験を集積した農業の可能性がそこにはあるような気がしました。

羽曳野市はイチジク生産でも有名

 

参加して頂いた学生の皆さんは、これからより本格的な調査に入っていきますが、現場を知ることの重要性を体感できたのではないでしょうか。この経験と授業で身につけた社会調査の技法を生かして、社会の発展に寄与できる人材になってほしいと願っております。

かつてサントリー道明寺工場があった道明寺駅で解散


堂﨑農園の堂﨑壽彦代表
仲村わいん工房の仲村現二代表
大変お忙しい中、ご協力ありがとうございました。

【関連リンク】

→仲村わいん工房のHP

→社会学科の学びについてはコチラ

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