人文社会学部 社会学科 -最新情報-

「見えないこと」や「見えない世界」について学びました

 社会学科1回生対象の大学基礎演習Ⅱでは、様々な社会問題の存在について知ると共に、社会問題に関わるゲスト講師のお話を伺うことでさらに学びを深めています。

今回の授業では、39歳で失明された松永信也さんをゲスト講師としてお招きし、「見えないこと」や「見えない世界」について学びました。松永さんは現在、京都府視覚障害者協会の参与やNPO法人の理事長、短期大学や専門学校の非常勤講師をされています。

 ご講演のなかでは、まず現在の日本には視覚障害者が約34万人いることや、「見えない」状態についても、サランラップの棒で向こうを見るような状態の方もいれば、周囲だけが見えないという方もいることが語られました。

 その上で、 現在の社会は、あらゆる情報が文字で示されているため、視覚障害者が情報を得ることが難しい こと、視覚障害者のなかでも点字を読めるのは1割ほどであり、点字を学ぶにしても、教える人や場所などの学ぶ条件が整っていないと難しいというお話がありました。また、電車などに優先座席があっても、それがどこにあるのかが分からないので、実際に使用できるのは目の見える人が場所を教えてくれる時に限られるそうです。

 移動や外出の際に、松永さんは白杖を持っていますが、地方に行くほど白杖を持っていない、あるいは、持たない人が多いそうです。白杖を持っていた方が安全なのにどうして持たないのか、皆さんに考えて欲しいと松永さんは呼びかけました。

 松永さんのご講演は、お話だけではありません。学生の皆さんは、「見えない」ということがどういうことかを体感するために、松永さんの指示の下、最初は目を開けて1分間片足立ちをした後に、今度は目を閉じて1分間片足立ちをしました。目を開けて片足立ちすることは、多くの学生の皆さんが出来ましたが、目を閉じて片足立ちを1分間出来たのは11人だけでした。この体験を通して、 「見えない」ということは、身体のバランスが取りにくくなることでもあることを実感 しました。

 ご講演の後半では、35歳の頃から白く霧がかかったように見えるようになり、それが取れなくなったこと、39歳で失明をした時に、歩けなくなり怖くなったこと、その日の内に仕事をやめたことなど、失明当初のご自身のことについて語られました。また、ご自身の携帯電話についてもお話し頂きました。ガラケーでは視覚障害者が使える機種は2つしかなかったそうですが、スマホでは全機種が使えるとのことで、実際にどのように使用しているのかも実演して頂きました。松永さんは、 スマホは発達しているけれども、それでも、人間が助けてくれることが大事 であるとも話されていました。

 ご講演の後には、学生の皆さんから多くの質問が寄せられ、松永さんには一つ一つ丁寧にお答え頂きました。

 最後に学生の皆さんの感想を一部ですが紹介します。

  • 今までは声をかけたりする勇気がなかったけど、これからは白い杖の人や他の障害者など困っている人がいたら絶対に声をかけようと思いました。
  • 大阪では白い杖を持っている人はよく見かけますが、地方に住んでいる方は見かけたことがない人も多いようなので、地域によらず、全国的に視覚障害者への理解が広まればと思いました。
  • 視覚障害は誰にでも起きることで、まさか自分がなるはずはないと思っていたと聞いてこわくなりました。目が見えないっていうのは、私が思っているよりずっと大変なんだろうと思います。それは、目が見える私では全部を理解できないし想像もできないです。だからこそ、理解が少しでも深まるようにもっと知りたいと思いました。
  • 症状は人それぞれということは割と当たり前のことなのに、松永さんに言われるまで全く気付かなかった。自分は他の人と違って、「視覚障害者への理解がある」と思い込んでいたけれど、勘違いの知識だったということを今日初めて知った。
  • バリアフリー、バリアフリーと言っておきながら、生の人間は携帯を見ながら歩いていたりするなど、自分がバリアになっていることに改めてすごく罪悪感を感じました。

 この他にも、これまでの自分自身の経験と結び付けて、松永さんのお話を受け止めてくれた人が多くいました。また、「もっとよりよい世界をつくるべき、変えるべき、その中の一人になるために日々の学校生活や過ごし方を変えて、自分自身が変わるように努力して頑張ろうと思いました」というように、世界や社会とのかかわり方、そして自分自身のあり方を考え直すきっかけになった人もいました。

 今回の松永さんのご講演から多くのことを教えて頂きましたが、同時に、多くの「問い」を投げかけられたようにも思います。自分たちが社会の一員として、社会問題をどう捉え、どう関わっていくのか。今後の大学基礎演習Ⅱの授業のなかで、さらに学びを深めていきたいと思います。

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