人文社会学部 日本学科 -最新情報-

「パフォーマンス実践演習」後半の授業

集中講義「パフォーマンス実践演習」は、「伝える・伝わる」ということについて、受講生が自らの学びと経験を通して、学生個人として、さらにはグループとして活動する中でのグループメンバーとしての課題や問題点を発見し、それを改善し、克服することを繰り返す中で、よりよいコミュニケーションの在り方について考え、実践するという授業です。

夏季休暇中の前半3日間についてはすでにお知らせしましたので、ここでは、後半の4日間についてご報告します。

後半4日のうち、最初の3日間は、「朗読クラス」と「身体表現クラス」に分かれての学びを実践し、そして最終日は、お互いの学びの共有と振り返りを行いました。

 

「身体表現クラス」では、身体を動かすゲームと芝居の創作を通して、よりよいコミュニケーションについてそれぞれが考えたことを実現させ、「伝える」ということが目的です。夏休みの思い出を語る自己紹介かと思えば、それがそのまま他者の話を真剣に聴く姿勢を培い、他者に強い印象を与えるにはどのような話し方がポイントなのかを考える場となったり、エア・大縄跳びというゲームを通じて、見えないものを仲間で共同して、あたかもそこにそれが存在するかのように作り上げていくことの面白さを体験したり身体活動を通じて問題点や課題を発見し、それらを踏まえて最終課題である創作劇の完成をめざすというレッスンが続きます。

 

「朗読クラス」では、まず正確に伝えるために文をどのように区切るのかという基本的な学びから始まり、

聴き手に登場人物の感情が伝わり、その場の情景が浮かぶような朗読とは、ということをメインテーマに、いくつかの素材を用いてのレッスンが繰り返されました。

その中で、朗読とは、ただ単に情報を伝えるだけでなく、ましてや言葉さえ伝わればよいというものではなく、あたかも映像で伝えるように、聴き手がその場面をしっかりとイメージできるように、「表現する」ということなのだということが、受講生に次第に理解されていきます。

登場人物の口調、そこに示される感情や心理、緩急を使い分けての状況説明など、素材の中から様々な要素を読み取り、読み取ったものを表現し、いかにそれを伝えるかなど、今まで意識もしていなかったようなことをいろいろと考え実践しなければなりません。

 

3日間の実践練習を重ねるうちに、どちらのクラスの受講生も、コミュニケーションとは、言葉だけでなく、身体と心すべてを使って「伝える」こと、そして他者の発信する情報を、言葉だけで理解するのではなく、自分の身体と心のすべてを使って受けとめる事なのだと理解していきます。

そこでは、そんな「恥ずかしい」こと、などと言ってはおられません。学生の言葉を借りれば「恥を捨てるということを知って」レッスンを重ねるうちに、今まで全く意識もしていなかった「身体と心を開くことで、言葉に力が宿る」ということを実感し、実は、それこそが「伝わる・伝える」ために大切なことなのだと気付いていきます。

 

そして、いよいよ最終日。お互いの学びの成果を発表し、異なるクラスでの学びの内容をお互いに教え合い共有し、そして振り返り作業を通じて、「伝わる・伝える」ことについてもう一度考えます。

 

「朗読クラス」=全員で分担して、有島武郎の「一房の葡萄」を朗読します。

前日の最終レッスンが終わった後で、教員にもっと作品の中に入り込み、自分の世界を作りなさい。

それと、一つの作品を、全員で作り上げるというお互いを思う気持ちも大切に、と指導され、この発表のために、それぞれがもうひと踏ん張り、作品の世界を深く読み込み、それぞれにしっかりと考えた表現がなされつつ、全員の朗読がまとまって一つの作品としての仕上がりが見えました。

 

「身体表現クラス」=4つのグループに分かれ、映画やアニメなどの中で最も好きな場面をもとに受講生グループが創作した劇、「運命の実話」・「タイヨウのうた」・「スター・ウォーズ エピソードⅢ」・「塔の上のラプンツェル」を演じます。

5分間という時間制限の中で何を伝え、そのためにいかに演じるか・・・休み時間も返上しての稽古を繰り返した成果が発表されます。

 

その後、ふたつのクラスのメンバーが混在するグループに分かれ、お互いの学びの成果を評価しあい、
学びの内容を共有し、この授業について振り返るというグループワークをしました。

 

「朗読」についての「身体表現クラス」の学生の評価は、

・感情表現が豊かで、主人公やそのほかの登場人物の心情とその移り変わりが理解できた。

・形容詞が、そのまま「見える」。映像として理解できた。

・朗読だけで、(映像のように)本物の色がないのに、色が見えた。

・読み手がどんどん変わっていったのに、共同して一つの世界を作り上げていた。

・登場人物である先生の優しさが表現されていて、特にその部分に聞き惚れた。

 

「創作劇」についての「朗読クラス」の学生の評価は

・そこに作り出そうとしている「世界」が見えた。

・伝えようとしていることがわかり、真剣に観てしまった。

・せりふに感情が込められていた。

・全員が、本当に真剣に演じていた。

・チームワークの良さ、照明や小道具の工夫、小道具が実物として存在しないのに、そこにあるかのように表現されていたことや、息遣いなどもリアルに表現されていたことに感心した。

 

そして、共通して学んだことは、

「本気にならないと伝わらない」・「相手の気持ちを理解しないと伝わらない」・「登場人物になりきったつもりで表現しないと伝わらない」ということですが、

そのためには、「伝えたいという気持ちを持つこと」と「何を伝えたいのかをしっかり理解すること」が大切だということも理解したのです。

 

いままでは、伝わっている「つもり」であって、「それでは、実際には、何も伝えられていなかったということが分かった」というグループのまとめが印象的でした。

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