人文社会学部 日本学科 -最新情報-

作家の谷口雅美先生をお迎えして ―「日本語で表現する」とは―

1年生の必修科目「大学基礎演習I」では、普段、なかなか接することができない社会人の方を招いてのお話をうかがう機会を設けています。

今年度は、作家の谷口雅美先生をお招きして、「日本語で表現するということ」というテーマでお話をいただきました。

SE、介護福祉士などを経て、短編小説集『99のなみだ』で小説デビューされた後、多くの短編小説集をはじめ、シナリオ作成やFMラジオでのアシスタントなど、日本語で表現するさまざまなお仕事に関わっておられる谷口先生。

お話は、「私は自分を水だと思っている」という内容から始まりました。

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どのような仕事でも、どのような状況でも、相手に合わせて、柔軟に考え、しなやかに対応し、水のようにあらゆる器に収まるようにしよう。そのような気持ちで、仕事に向き合っていますという言葉から始まったお話では、ちょっとした出来事やエピソードから、いかに物語を構築し、読み手に感情移入をさせるのかという創作に関する具体的なお話も交えながら、しかし、そのような技術よりも大切なものがあるということが繰り返し語られました。

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それは、何か・・・
「みなさんは、たとえば、メールやラインを送信するとき、自分の書いた文、文章をきちんと読み返していますか」との問いかけに、「自分は、そうしている」と反応する学生も多くいました。

では、「読み返す」時には、何に注意していますか。誤字、脱字のチェックももちろん大切です。誤変換で、とんでもない誤解を招くこともあります。

しかし、本当に大切なこととは、「それを読む相手の気持ち、立場に立って、自分の書いた文章を読み返すこと」です。

つまり、日本語で表現するときのポイントは、文章表現の技術だけでなく、読む人のことを思いやること、それが、読み手に伝わる言葉になっているのかを意識することなのです。そして、読み手を尊重し、相手を尊敬する気持ちをもって、表現すること。

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文や文章というものは、書いた本人が思っている以上に、相手には伝わりにくいものなのです。

今、自分が言ったこと、書いたものは、果たしてこれを伝えたいと思っている人に、きちんと伝わるのだろうか、と客観的に見る気持ちをもって表現することが大切なのです。

そして、そのためには、あなた自身が、しっかりと「読める」人になることが大切。多くの文章に接して、読解力を高めることも、自分自身の表現力を高める基本になります。

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今まで色々な仕事をしてきました。そこで学んだことは、どのような仕事でも、そこで接する人との付き合いを楽しみ、柔軟に物事を受け止め、そして、面白がることが大切だということです。

今は、「負けた・・・」「こんなことは無駄」と思える経験が、後になれば、活用できる要素になるかもしれない。「今」だけを見て判断するのではなく、こうしたいろいろな経験を積むことで自分の幅を拡げているのだと、何事も面白がるぐらいの気持ちを持ちましょう。

私自身も、ラジオや天神祭の「御伽衆」の仕事を通じて、相手を否定しない、尊重する、そして、臨機応変に相手に合わせて動くということを、今でも学んでいます。

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もちろん、私の本業は「作家」で、書くことですが、それ以外のたくさんのことにも興味をもって、いろいろな人と出会い、接することで、さまざまな情報を得ることになり、そして、それが、結果的に自分の本業である「書くこと」につながっているのです。

学生の皆さんにも、できるだけ多くのことに興味をもって、いろいろな情報を得て、幅広い視野をもって、大学生活を楽しむことをしてもらいたいです。「今」の経験は、10年後、あなたの人生のどこかで、きっと役に立ちます

最初に、「私は水だ」と、お話しました。柔軟に生きるということをお話したのですが、それと同時に、今日の私のお話が、土に沁み入る水のように、皆さんの心に沁み込み、心のどこかにとどまって、少しでも潤いを与えるものであったなら、と望みます。

1時間以上にもわたり、丁寧に語りかけてくださったお話に、学生たちは熱心に聴き入っていました。
そして、講演後には、学生から質問も受け付けていただきました。

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最後に、谷口雅美先生が、画家である小峰紀子さんの画集からイメージを膨らませて創作された短編小説を、小峰紀子さんの絵とともに収録した『鳥と猫と君とボク』を希望する学生にお配りいただきました。

サインもしていただけるということで、多くの学生が谷口先生とお話をしながらサインをいただき、その後も、名残惜しく思った学生が、教室に残って質問をしたり、お話をうかがったりしていました。

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学生からのコメントです。

「谷口雅美先生は、いろいろな経験をされていて、これからの人生を生きていく私にも勇気を与えてくださいました。今まで小説をなんとなく読んでいたのですが、これからは、作家がどのようなことを、どのようにして伝えようとしているのかをしっかり受け止めながら読んでいきたいです。」

「いろいろな人と接することが大切だとわかり、いろいろな世界を知ることも大切だと知りました。知ったからには、これから実行していきます。」

「その場にふさわしい思いやりを持つことが大切だ。話す場合には、どうやったら相手にきちんと伝わるのか、自分の書いたものは、伝わる内容になっているのか。いつも考えないといけない。」

「何かきっかけがあればできる。そんなチャンスがあれば、恐れずに、なんでもやってみる事、経験や知識を積むことや、視野を広げる事の大切さを感じた。」

「言葉の使い方の大切さを知った。いろいろなことに興味を持つことから始めよう。いろいろな人との出会いは、自分の世界を広げることになるのだと分かった。」

 

さあ、学生たちの次の課題は、「私の薦める一冊」紹介プレゼンテーションですね。谷口雅美先生のお話と、この後の授業で学ぶ内容とを参考に、しっかりと「伝わる」プレゼンテーションができるようになるべく、頑張りましょう。

谷口雅美先生、ありがとうございました。

 

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