人文社会学部 日本学科 -最新情報-

「伝える力」を伸ばすために その1——「パフォーマンス実践演習」(前半)

日本学科専門科目「パフォーマンス実践演習」が、夏休み中の集中講義として開講されました(8月27日~30日)。

この授業は、ヴォイストレーニング、朗読、身体表現などを実習し、それらを踏まえながら、「他者への理解」あるいは「コミュニケーション」について取り扱ったパフォーマンスをグループで創作し、発表する演習として構想されました。日本学科の学生に、自己表現力を付けつつ、他者とのコミュニケーションについて理解を深め、そうして得られたものを主体的かつ実践的に表現しながら行動できるようになり、それぞれの将来に生かせるようになってほしいという考えに基づいています。内容構成は日本学科教員が考えていますが、ヴォイストレーニング、朗読、身体表現については、その道の専門家の先生を外部講師としてお招きし、指導していただきます。

「他者理解について改めて学びたい」「コミュニケーション能力を高めたい」「自己表現力を豊かにしたい」「楽しい授業ができる教員をめざしている」など、さまざまな受講動機を持った受講者たちは、厳しい暑さの中、1日4時間連続×4日間連続というハードな授業に臨みました。

1日目、授業のイントロダクション(狙いやスケジュール、課題の説明)に始まり、まずは「ヴォイストレーニング」に取り組みました。身体の構造、発声を支える腹式呼吸の仕組みを知り、豊かな響きを作る「共鳴腔」についても学びました。そして挨拶の言葉、歌唱で実践です。胸を開いて、深い息に支えられた豊かに響く声が出せましたか?

次は「朗読」の授業です。発声練習の後、短い詩の朗読、続いて絵本の文章に取り組みました。言葉は平易ですが、個性と対称の際立つ登場人物たちの声、各場面での感情を表現するのは、けっして易しくはないことを痛感しました。

次は「身体表現」の授業です。受講者が「演劇」からイメージするものとは?から始まり、その後はすぐに実際に身体を動かす実践へ。「歩く」動作にいそしみつつ、全員で空間をまんべんなく埋める(人がいない空きスペースを作らない)、目が合った相手とは言葉・握手・ハイタッチ・ロータッチといった手段で挨拶を交わす、というエクササイズを続けます。書けば単純ですが、真剣にやっていると汗が出るハードさです。その後は少しクールダウンして、まだよく知らない同士での自己紹介、それを元にした他者紹介プレゼンテーション。続いては一ひねりして「私に向けて語ってくれた相手を演じてみよう」。どれだけ表現できましたか?「自分は相手にこんなふうに見えていたの?」と、思いがけない気付きもありました。次は全員一つの輪になって、ある「ことば」の伝え合い(渡し合い)をしました。ことばの種類が増えると異なる順序での渡し合いも増え、かなり複雑なことに…。なかなかうまくいきませんでした。

 

「ヴォイストレーニング」「朗読」「身体表現」の3分野の1日目を終えると、それぞれの分野に関して自分ができたこと、できなかったことを振り返り、残りの日数で実現したい3分野の目標を立てて、ポートフォリオに記録します。

そして、受講者を3~4名のグループに分け、これから最終日の成果発表会に向けて各グループで一つのパフォーマンスを作り上げていくことを確認して、1日目は終了です。

 

2日目は、まずは「身体表現」にたっぷり2コマ取り組みました。最初に、ことば以外の手段によってコミュニケーションをとる、いろいろな運動エクササイズや課題に挑戦。相手と力を預けあって、力関係を調整しなければならなかったり、わずかな動き、息づかいや視線によって相手の意思をつかんだり。普段あまり意識しないようなきめ細やかなコミュニケーションです。そして、他者の作り出した流れに乗ったり、そこに自分をゆだねたりして、協力して何かを作り上げていく、という体験を重ねました。次に、先ほどとは逆に、動きを封じられ言葉のみで伝えるという課題にも取り組みました。ここで、1日目にうまくいかなかった“全員の間での、複数のことばの、複種類の順序による受け渡し”に再挑戦したところ、見事にうまくできました! みなさん、力がついて進歩したのですね。

そのほか、おなじみの昔話のあらすじをベースに、発想を転換してキャラクターや小物を置き換え、即興でお話を作るという課題にも取り組みました。「まだまだ元に引きずられてるよ!」「もっと型を破って!」と、たびたび講師の先生にハッパをかけられました。「型」を破る、発想を転換するという訓練は、パフォーマンス作りに役立つのです。

「朗読」では、物語に取り組みました。1日目の絵本の楽しい世界とはまた異なり、現実に即した、悲しみも秘められたしっとりした物語です。登場人物の複雑な感情を表現するのは難しい課題でしたが、「昔をなつかしむ寂しさをイメージして朗読することを、楽しくできた」と手ごたえ、達成感を感じた受講者もいました。

2日目最後のコマは、グループワークです。自分たちはどんなパフォーマンスを作っていくのか、具体的な構想に入り、協力し合って作っていきます。既存の名作をベースにメンバーの個性を生かしつつ作っていくグループ、全くのオリジナルに挑戦するグループなどさまざまですが、「他者への理解」・「コミュニケーション」をテーマとする、はたしてどんな作品ができるのでしょうか。もう前半は終了という進行の早さに驚きです。

後半については、あらためてご報告します。

一覧に戻る
学科に戻る