人文社会学部 日本学科 -最新情報-

現代の日本語について研究する——日本語学ゼミの取り組みから

日本語学を対象とする高橋ゼミの、冬学期の取り組みの一部をご紹介します。

同ゼミでは、日本語の形、仕組み(文法)、運用のルール、使い手の属性・地域・媒体などさまざまな要因によるバリエーションなど扱っています。ゼミの二本の柱のうちの一本はゼミ生各人による研究発表(現代の日本語に関して興味あることからテーマを設定する)ですが、もう一本は日本語学的課題への取り組みです。後者に関して、今学期は「言語コーパスを用いた日本語分析」や「メタファー分析」に取り組みました。

言語コーパスとは「言語を分析するための基礎資料として、書き言葉や話し言葉の資料を体系的に収集し、研究用の情報を付与した言葉のデータベース」(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立国語研究所 コーパス開発センター「言語コーパスガイダンス」より)のことです。言語研究、言語教育、辞書編纂、情報処理などさまざまな目的に利用されます。国立国語研究所が構築した各種のコーパスもいろいろな形で公開されています(ただし利用にあたっては契約を要するものもあります)。

さて今回は、コーパスや検索エンジンを利用した日本語の語彙や表記の調査・分析に関する文献を読んで、コーパスの基本的な使い方を学んだのち、グループごとに各々一つのテーマに取り組みました。テーマ設定は自由ですが、その追究のために日本語コーパスからデータを収集し、分析して自分たちなりの結論を出し、スライドにしてプレゼンテーションすること課題です。

同じ(?)語の異なる表記(例 「僕」と「ぼく」と「ボク」、「コーヒー」と「珈琲」と「coffee」、外来の単語の中での「ウイ」と「ウィ」など)の使われ方の違いや、使い分けの傾向について分析したグループが多かったのですが、たいへん面白かったのは、まだ辞書に登録されていない、ある新語について、インターネット上やSNSなどでの実際の使用例を集めて、その意味用法について考察したグループの発表です。その新語のインターネット初登場は2014年頃と見られるとのことですが、現在に到るまでに早くも意味用法が変遷しつつある(初期の意味用法Aから、現在もっぱら用いられている意味用法Bへシフトしてきている)ことまで、実例や関連資料(Bが主流になりつつあることには、テレビ番組での取りあげられ方が大きく影響しているとのこと)を論拠に用いて示す、説得力ある発表になっていました。

「メタファー」とは広義には比喩全般、狭義には隠喩を指します。比喩表現といえば文学の領域のもの、凝った文章のための技法というイメージがあるかもしれませんが、実は比喩は私たちの認知と深い関係があり、何気ない日常生活のことばにも多用されているのです。

今回は隠喩の一種「概念メタファー」をいくつか確認し、その反映である具体的な言語表現を探して挙げるというグループワークを行いました。「三人寄れば文殊の知恵」?、一人では気づかないあれやこれやの表現をグループで出し合い、発表を経てクラスで確認し合えました。

私たちがふだん当たり前のように見聞きしている日本語には、興味深い種子がたくさん潜んでいます。学生のみなさんには、これからも身の回りの言葉に眼と耳を向け、ことばについての思索を深めていってほしいと思います。

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