人文社会学部 日本学科 -最新情報-

留学生のスピーチを聴きました 後編

留学生のスピーチを聴きました  前編」では、中国浙江工商大学からの留学生による日本学科の専門教育科目「日本文化論Ⅱ」でのスピーチの様子を紹介しました。

今回は、留学生達のスピーチのなかから、興味深いコメントをいくつか紹介しましょう。

 

 

*今回の留学で、自分が母国、中国の文化だけでなく、無意識のうちに日本文化にも大きく影響されていることを自覚しました。もし、中国に戻ってからこのような日本的な感覚をもって行動したならば、「気を遣いすぎる。よそよそしい人だ」と言われるでしょう。でも、だからといって、ある程度日本文化を身につけた外国人が、日本に完全に受け入れられているかというとそうでもないようです。長年、日本で生活してすっかり日本的になっている場合でも、やはり、外国人は、日本の社会に完全には受け入れられていないと思います。それでも、多文化のなかで生きる「第三種の人」としての立場を自覚して、留学生活を通じて複数文化を理解しようとすることで、母国中国の文化もより深く理解しつつ、多角的で客観的なものの見方を習得できたと思います。

*「日本語を学んでいる」というと、「なぜ、自分の国を侵略した国のことばなんて勉強するんだ」といわれることもありますが、日本語を勉強したことで、私は、日本の人々が中日平和のためにずっと努力していることを知りました。これからは、このことを中国の人々の間に広めていきたいと思っています。それと、日本の素晴らしい文化を、中国の人々に知ってもらうために紹介していきたいと思っています。日本語にはあいまいな表現が多く、話をしている相手が本音で言っているのか建前で言っているのかわからないことが多く困ることもありました。でも、たとえ建前で言っているとしても、「頑張って」と声をかけることは、人に元気を与える良い文化だと思います。留学生活を通じて、実際に日本に住んでみなければわからないことを多く学びました。留学して、その国の文化を、実際に体験することはとても大切なことです

*日本の「匠の精神」にすごく興味があります。さらに、日本庭園の美しさにも非常に心を惹かれていました。「百聞は一見にしかず」といいますから、日本語を学んでいる以上、実際に日本で生活して、日本の社会を知り、日本で匠に出会い、そして日本庭園の美を堪能したいと思いました。もちろん、留学生活ではたくさんのカルチャーショックも経験しました。が、さまざまな文化のそれぞれの違いを知り、それを尊重しつつも、その違いを楽しむというのが、私が異文化に接するときの態度です。中国と日本では、一見、ずいぶんと違う習慣に出会ったりしましたが、表面的な違いの背景にある思想などを知ると、実は共通する要素もあるということも知りました。異文化に接するということは、このようにとても面白いことなのです。

*日本の清潔さは、中国のネットニュースでも取り上げられるほど有名です。そして、意外だったことは、異文化や外国人に対して閉鎖的といわれる日本で、少なくない外国人が正社員として働いていることを知ったことです。考えてみれば、日本は、歴史を通じて、常に外国の文化を熱心に取り入れてきました。日本人は、案外、異文化適応能力があるのかもしれません。ステレオタイプで日本人とはこうした人だと思い込んではいけないのかもしれないと思う反面、やはり集団主義だなと思うことも多くありました。留学生活を通じて、いつも、中国で指導を受けた先生の「初心を忘るべからず」という言葉を思い出していました。日本語を学び始めたころの気持ちを忘れず、あの未熟さに戻りたくないという気持ちを大切に、無限の可能性を信じて前に進んでいきたいです

*よく言われている日本語の曖昧さは、留学生活で何回も経験しました。でも、ここで紹介したいのは、日本人のお風呂好きということへの私の驚きです。スーパーで温泉の素が何種類も売られていること、それを使って自宅のお風呂を温泉にするということ、これは、とても面白いと思いました。それと、お風呂でリラックスしながら本を読むための道具がいろいろ売られていることも興味深かったです。また、スーパーやコンビニなどで売られている商品に点字が付いていて、このような細かい所にまでバリアフリーが行き届いていることが素晴らしいと思いました。そう言えば、交差点での音声信号も工夫があります。こうした「人に優しい」社会とするための工夫を、中国も見習うべきだと思いました

*留学生ネタの定番ですが、「すみません」や「つまらないものですが」という日本語は、やはり外国語として日本語を学ぶ学生には違和感があります。さらに、「今日はちょっと…」などのあいまいな断り方も理解しにくいです。相手を傷つけない配慮は、日本語を母語としない人間を困惑させます。中国でも学びましたが、やはり、日本人は感情を表に出さないのだと実感しました。ですから、価値観の違いが原因で日本人の友人を怒らせてしまっても、その時、怒っているとか、なぜ怒っているのかを伝えてくれないままに、次第に疎遠になっていくことがあり、留学生の私には、その理由が分からず困りました。出身国や文化が違っても、親しい友人になることはできると思います。もちろん、時間も必要でしょう。でも、留学したからには日本の人たちとしっかり交流し、良い友情を育てたいと思いました

*日本人同士が挨拶を交わしている場面を見れば、一目でその人間関係が分かることが面白いと思います。また、たとえば、残業をするという行為に対して、日本人は、それは勤勉な人だと思うのに対し、中国人は、ゆとりのない人だというように否定的に見るなど、おなじ状況をどう理解するのかは、文化によって異なります。そうした文化の違いを楽しんできました。日本におけるペット人気の背景にあること、食文化についてなどです。食文化についていろいろ経験して理解したことは、日本では、中国の地方料理はあまり知られておらず、本物の中華料理は味わえないということです。このことは、日本における中国文化の受け入れ方に見られる問題を示しています。つまり、日本は中国文化を受け入れているようで、実際にはその表面的な部分だけを選択的に受け入れているだけで、本質的な部分は分かっていないのではないかということです。この留学生活を通じて、素晴らしいことも、余り良くないことも、いろいろ経験しましたが、すべてが大切な思い出になると思います

*留学生活はとてもチャレンジングです。自分では当たり前であることが通用しないため、苦労が多いと思います。しかし、そうした体験は、自分の視野を拡げ、思考を深め、多様な考え方を受け入れる基盤を作ると思います。日本では神社に興味を持ち、日本人が自然に神を敬う精神を身につけていることを知りました。さらに、町を歩いていて、人々の家の前に可愛い彫刻や動物の置物などが置かれていることに気が付きました。そこから、雄大で壮麗なものを好む中国人と、精巧で小さなものを好む日本人の違いについていろいろと考えたりしました。さらには、バスなどのバリアフリー機能にも驚き、そうした点に示される日本文化の細やかさを知りました。留学中はすべてがうまくいったわけでなく、挫折して落ち込んでしまうこともありましたが、そこを乗り越える強さを身につけました。異文化との出会い、異文化を知ることは、私を強くしてくれたと思います。そして、日本という国について、自分自身の経験から深く考え、様々なことを客観的に見ることができるようになったこと、これが、留学した一番のメリットです。

 

 

このようなスピーチを聴いた学生たちのなかには、ぜひ、自分も留学してみたいとコメントした人もいました。日本学科の先輩には、日本語教員として海外で日本語を教えるなどの活躍をしている人もいます。

留学生のスピーチにあったように、学生のみなさんも、無限の可能性を信じて前に進んでいってください。

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