人文社会学部 日本学科 -最新情報-

「なぜ、私の想いは伝わらないのか」 ――「伝わる・伝える」ということの学び

日本学科では、毎年夏休みに集中講義として「パフォーマンス実践演習」を開講しています。なぜ「パフォーマンス」なのか・・・

 

誰かに何かを伝えたいとき、言葉だけに頼っていませんか?

あなたの想いは、言葉によって伝えることができます。

でも、その言葉は、あなたが思っている通りに、相手に受け止められているのでしょうか?

なぜ、伝わらないのだろうと、悩んだり、困ったりした経験はありませんか?

どのような表情や姿勢、そして声のトーンにして話すかによって、同じ言葉でも「伝わるもの」は、大きく違ってくるのです。

対人コミュニケーションの場での表現というものは、発信する側の体全体で伝えたいという気持ちを込めて伝えなければ伝わらないということを、実践練習や、ワークショップを通じて学ぶ場。そうした貴重な体験ができる授業なので、「表現演習」ではなく、「パフォーマンス実践演習」なのです。

この集中講義では、毎年、こうしたコミュニケーションのコツをつかむことで、大きく成長する学生の姿が見られます。

 

本年度のこの講座の内容をご紹介する第一弾として、ここでは、谷口雅美先生による「共感され、共感する言語表現」ワークショップのご報告をします。

谷口雅美先生には、6月にも、1年生対象の「大学基礎演習Ⅰ」でご指導をいただきました。卒業後は、ライターとして、あるいはマスコミ関係での言葉を使った表現活動に関わりたいと考える学生も多い日本学科。

谷口先生には、ご自身の経験に基づく文筆活動の実際についてのお話をいただいたあと、一つのゲームを素材として、学生が自分の「ブラックボックス」を考えるという活動をしました。

この活動について、谷口先生ご自身からのコメントをいただいています。

授業の中では、「お題」として出した単語から、連想できる言葉をつないで、その5番目に出た単語だけを、他の人に見せるというゲームを2回(2問)やりました。

このゲームでは、人それぞれに「ブラックボックス」のようなものがあり、他者からはその人の考えや思いが完全には見えない。ですから、 5番目の単語はもちろん、2~4番目の単語を教えてもらっても、何故、その単語が出てきたのか(相手の考え)が理解できない&してもらえないことも多い――ということを実感してもらいたかったのです。

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授業では、3名の学生に2~5番目の単語を発表してもらいました。その時の周りの反応は、「お~、なるほど」と頷く、「え? なんで?」「なに、それ?」と首を傾げるなど様々でした。しかし、このことで、「ブラックボックス」を具体的にイメージしてもらえたと思います。

自分の「ブラックボックス」にたくさん知識や経験があれば、相手の考えに「なるほど」と思えることが多いのですが、「わからないから関係ない」という姿勢ですごしてばかりいると、自分の「ブラックボックス」の中身も増えない。

「なるほど」と思うこと、思ってもらうことでコミュニケーションが豊になるわけですから、人とたくさん話して、本や映画、ドラマやマンガからたくさん知識や情報を得たりして「ブラックボックス」の中身を充実させてください。 

以上が、谷口雅美先生からいただいたコメントです。

 

さて、今回の集中講義の授業内容は、この6月の谷口先生のご講義から一歩踏み込んだものになります。

谷口先生からは、「6月の講義で、『自分と他者は経験してきたもの、見てきたものが違う、その結果として同じ言葉からそれぞれが抱く印象も違う』ということを実感してもらえたので、文章表現の際には、どのようにすれば、その感覚の違いを埋めて、伝えたいことを精確に伝えることができるのか、具体的に考えてもらうつもりです。」との解説をいただきました。

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たとえば、「彼はとても背が高い」と言われたとき、どの程度の身長をイメージするのか。「背が高い」の高さに対するイメージが、いかに人それぞれに異なるのかをグループワークで確認します。「緑」という色名を聞いたとき、どのような緑と思うのか、その自分の緑のイメージを他者に伝えるには、どのように、何にたとえればよいのだろう。

そのたとえは、すぐに他者にも理解してもらえましたか?

結果的にあなたと同じ「緑」を、グループメンバーはイメージできたのでしょうか?

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さらに、悔しい、うれしいという個人的な感覚を、他の人に「どのように悔しかったのか」・「どのようにうれしかったのか」を伝えるためには、どのような工夫と配慮が必要なのか。

グループメンバーとの意見交換を通じて、「私」の想いを精確に伝えるためにはどのような表現が必要なのか考えます。

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なぜ、何が、誰の何が・・・理由・原因や事情が明確に伝わるような表現とはどのようなものなのだろうか。

いくつかのワークを通じて、学生たちは「伝わる表現」とはどのようなものなのかを学んでいきます。

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「自分とは感覚の違う他者に、自分の感じていることをどう伝えれば精確に伝わるのか。その技法を学ぶことは必要ですが、なによりも、『伝えよう、読み解こう』という姿勢を学ぶことで、

今後の学生生活や就職活動に対する姿勢に変化を与え、そして、社会に出た時の武器にしてもらいたい思っています」ということが、谷口先生が学生に伝えたかったことなのです。

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普段何気なく使っている言葉を使って、改めて深く考えて表現する。

同じ言葉でも、自分がどのようにその言葉に向き合うのか、その向き合い方によって、

言葉の世界が広がること、そしてその世界を広げるのは自分自身であることを学生たちは知ることができたようです。

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