平成29年度 採択課題 研究概要

研究代表者氏名 平井 秀幸
(ヒライ ヒデユキ)
所属 人文社会学部
社会学科
職位 准教授
研究種目 若手研究(B) 研究課題番号 17K18261
研究課題名 ポスト・リスクモデルの犯罪者処遇に関する比較歴史犯罪学的研究

研究の目的

 本研究は、近年の先端的研究において犯罪者処遇の新たなグローバル・パラダイムとして徐々に注目されつつあるポスト・リスクモデルの犯罪者処遇に関して、薬物事犯者処遇を具体的事例として犯罪学・矯正教育社会学の観点から経験的・理論的・政策科学的に考察することを目的とする。

期待される研究成果

 本研究はポスト・リスクモデルの犯罪者処遇を2000年代以降の犯罪学・矯正教育社会学の重要理論概念のひとつである「新自由主義(neoliberalism)」と結びつけて理論化しようとする野心を有している。新自由主義は従来、厳罰化や民営化など犯罪者処遇の縮小を正当化する政治的合理性であり、新たに登場した認知行動療法や犯罪当事者活動は犯罪者を社会的に再包摂する“新自由主義に抗するオルタナティヴ”だと好意的に評価されることが多かった。しかし、リスク的処遇は適切なリスク回避ができない非再帰的主体を、非リスク的処遇は社会参加をめざさない非市民的主体を、それぞれ排除する新自由主義的処遇となる恐れがある。心理療法から当事者活動まで、実に多様な実践から成るポスト・リスクモデルの犯罪者処遇を新自由主義化する現代社会・刑事司法のなかに位置づけることで、本研究は犯罪学や矯正教育社会学に留まらない広い学術的インパクトを有するだろう。

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http://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K18261
※国立情報学研究所の科研費データベースへリンクします。

研究代表者氏名 小森 めぐみ
(コモリ メグミ)
所属 人文社会学部
社会学科
職位 講師
研究種目 若手研究(B) 研究課題番号 17K13908
研究課題名 物語接触が関連行動を生じさせるメカニズムの解明-空想による抑制効果に注目した検討

研究の目的

 本研究は、物語接触が物語内容と関連する行動を生起させるメカニズムを解明することを目標とする。自己制御研究分野で提唱された空想実現理論(Oettingen, 2012)を物語説得研究に導入し、物語接触時に生じる没頭や内容に関する空想の高まり(物語経験)のもつ説得的影響力が、どのような場合に行動にまで影響を及ぼすのかを検証する。
 上記の目標を達成するための課題として(1)測定概念の違いに注目した物語説得研究の概観(2)物語経験が関連行動の生起に及ぼす影響の検討(3)心的対比による物語説得の促進・持続の実証の3点を設定し、大学生を対象とした質問紙実験、パソコン実験、行動実験を複数実施する。具体的には小説や映像を参加者に呈示し、異なる目的を与えるなどして物語への移入を操作した上で、読解(または視聴)後に生じる態度の変化を測定する。

期待される研究成果

 本研究で物語経験が行動に及ぼす影響についての理解が促進されることは、物語経験、空想、態度変化等の関連領域を進歩させるだけでなく、多様な形での将来の発展が期待される。
 まず、物語説得研究の実践的意義として、教育・健康・マーケティングなど物語を利用して人々に働きかける試みをより効果的に行うための理論的根拠が与えられることがあげられる。加えて、本研究は現在起きている出来事ではない物語と、現実に生じる行動の結びつきを直接的に検討している。これは人々の心が架空と現実をどう行き来し、どのように両者を区別したり、融合させたりしているかを理解するための理論的基盤を提供する。更に、本研究は物語の受け手に注目したものだが、物語の生成や記憶、伝聞といった発信者に注目する他の物語研究とあわせることで、物語と人間の関係性についての理解をより深めることができると考えられる。
 物語は高度なコミュニケーション能力を保有する人間にのみ使いこなすことができる対象であり、共感や感情に基づく物語の理解は論理的なコミュニケーションとも異なる性質をもつ。そのため、物語と人間の関係性の理解は人間特有の心の営みをより多角的に把握することにもつながると期待される。

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研究代表者氏名 吉田 祐一郎 所属 教育学部
教育学科
職位 講師
研究種目 若手研究(B) 研究課題番号 17K18260
研究課題名 地域での子ども包括支援に向けたセンター型支援の有効性の検証とあり方に関する研究

研究の目的

 本研究では、子どもの生活課題に関する相談窓口および直接的なサービスの実施が期待される母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)および児童家庭支援センターにおける役割について、児童相談所および関係機関との連携体制および支援体制の実際について調査する。この検証を通して、子ども・子育て支援における地域におけるセンター型相談支援体制の機能検証による必要性の提起と、相談者視点に立った相談に有効なアクセシビリティのあり方について検討する。

期待される研究成果

 両センターでのこれまでの実践事例の整理および地域および関係機関との連携について捉えることから、センターの設置意義を明確にすることができる。あわせて児童虐待の対応に追われる児童相談所の実施体制についても、両センターが援助の一部を担う(役割分担する)ことにより、各々の機関の専門性を用いた援助実施を可能とする視座を導き出すことができると予測される。

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