平成28年度 採択課題 研究概要

研究代表者氏名 五十川 飛暁
(イソガワ タカアキ)
所属 人文社会学部
社会学科
職位 講師
研究種目 基盤(C) 研究課題番号 16K04127
研究課題名 コモンズという場所の性格に根差した地域管理政策

研究の目的

 近年、地域社会のコモンズ空間は、従来のオーバーユースだけでないアンダーユースの問題も加わり、その管理の見直し論が盛んである。そして、その特徴であった控除性と排除性を避けつつ、どう多様なガバナンスを形成していくかが課題となっている。ただ、そうやって多様性が模索されるガバナンス空間は、他方でその意味内容としてはたいへん画一化に向かっているように思われる。とするなら、それとは異なる管理論を考えておくことにも価値があるに違いない。本研究では、コモンズ空間が歴史的に備えてきた重層性や可変性という特徴にあらためて注目し、その特徴を前提につきあってきた人びとのつきあい方から、地域社会の空間管理にあらたな選択肢を提示することを目的としている。

期待される研究成果

 本研究の目的を達成するため、いくつかの事例地を選定しながら、フィールドワークを実施していく。地域コミュニティ内には、従来コモンズをめぐる議論が注目してきた共有地やその共有をめぐる仕組みだけでなく、私有地や公有地といったさまざまな色合いをもつ空間が存在する。今回の研究では、コモンズ空間としてとくに共有地に限定することなく、コモンズ性があらわれる場所という観点から選定をおこなっていく。また、実際の調査の際には、空間そのものというよりも、その空間とかかわってきた地域社会のほうにポイントをおき、現場の地域生活を把握すること、および、そこからの検討を重視していく。そこで得られるであろう、人びとの生活の論理からは、学問的にはコモンズをめぐる議論を批判的に発展させることができるだろうし、政策論的にも、地域空間の管理のあり方について模索している各地の人びとが、自分たちの今後を考える際の判断材料を提供できるのではないかと想定している。

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http://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16K04127
※国立情報学研究所の科研費データベースへリンクします。

研究代表者氏名 平井 秀幸
(ヒライ ヒデユキ)
所属 人文社会学部
社会学科
職位 准教授
研究種目 若手研究(B) 研究課題番号 25780518
研究課題名 犯罪・非行からの「社会復帰」過程と教育的「支援」をめぐる社会学的研究

研究の目的

 本研究は、犯罪・非行少年の「社会復帰」過程における多様性や困難性を社会学的観点から明らかにし、かれらへの「支援」のあり方を展望することを目的とする。特に、施設内処遇(少年院における矯正教育)に留まらない社会内処遇(地域での保護観察等の教育的「支援」)まで包含した「社会復帰」の全体像を射程に入れる点に本研究の特色がある。方法的には、犯罪・非行少年の「社会復帰」過程に関する国際比較・歴史研究を通して、既存の心理学・犯罪学的な理解を理論的に刷新することが目指される。

期待される研究成果

 本研究が成功裏に実施されたあかつきには、犯罪・非行少年の「社会復帰」過程の単なる実態解明に留まらず、「社会復帰」やその「支援」のあり方が有する歴史的経緯や、諸外国との比較的特性を考慮したうえで、既存の学術研究における「社会復帰」理解を批判的に刷新する理論的貢献と、「社会復帰」に取り組む犯罪・非行少年の多様なニーズを踏まえた「支援」のあり方を広く国内外の実践へと提言する政策的貢献、の二つの学術貢献が期待される。

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研究代表者氏名 小森 めぐみ
(コモリ メグミ)
所属 人文社会学部
社会学科
職位 講師
研究種目 若手研究(B) 研究課題番号 26780338
研究課題名 物語説得のプロセスモデルの構築-物語への移入に注目した検討

研究の目的

 本研究は、物語に接触することによって生じる態度変化(物語説得)のプロセスを解明することを目的とする。物語説得は日常生活の中で遭遇する場面が多いが、そのプロセスは既存の説得・態度変化理論の枠組みでの説明が困難であるため、詳細にプロセスを見ていく必要がある。
 そこで、本研究では上記の目的を達成するために下位目標として(1)物語への移入の及ぼす説得的影響の実証(2)物語への移入によって生じる情報処理過程および思考の変化の実証(3)思考過程を媒介要因とするプロセスモデルの構築と実証の3点を設定し、大学生を対象とした質問紙実験を複数実施する。

期待される研究成果

 本研究では、物語の説得的影響力を系統だてて理解する枠組みの構築を目的とする。こうした枠組みを提供することによって、説得・態度変化研究の拡張や、これまで説明されてこなかった社会的影響形態の解明といった学術的な意義が期待される。加えて、本研究で得られた知見は、物語を用いたマーケティングや教育的な働きかけを開発するなどの実践的な試みの理論的根拠として機能することも期待される。 物語への移入は自分自身を物語の世界の一部であるかのように感じる過程だが、こうした経験は娯楽経験でのみ生じるだけでなく、日常的な相互作用の中でも生じうる。このように考えると、物語への移入の説得的影響について理解することは、相互作用の帰結を理解する新たな視点となることも期待できよう。

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研究代表者氏名 田辺 昌吾
(タナベ ショウゴ)
所属 教育学部
教育学科
職位 准教授
研究種目 若手研究(B) 研究課題番号 16K16252
研究課題名 父親の子育てを介した人間関係の広がりが家族に及ぼす影響に関する研究

研究の目的

 本研究は、社会的に注目を集めている「父親の子育て」に関連して、徐々に普及しつつある父親を対象とした子育て支援策のうち、父親同士の関係構築を図り、父親の人間関係を広げようとする支援にはどのような効果があるのかを明らかにするものである。幼稚園・保育所・認定こども園・地域子育て支援拠点などで父親同士の人間関係構築のための支援が行われているなかで、その支援の効果検証を、①支援の内容と父親の人間関係の広がりとの関連、②父親の人間関係の広がりが父親自身に及ぼす影響、③父親の人間関係の広がりが母親(妻)に及ぼす影響、④父親の人間関係の広がりが子どもの育ちに及ぼす影響の4つの内容から検討し、今後の父親支援策の方向性を明らかにすることを目的とする。

期待される研究成果

 期待される本研究の成果は次の4点である。
(1)幼稚園や保育所を介して、父親の人間関係に広がりがあるかどうかを明らかにすることができる。
(2)父親の人間関係の広がりが、父親自身のウェルビーイング、母親(妻)の幸福感、子どもの社会性の発達に影響するかどうかを明らかにすることができる。
(3)父親の人間関係を広げるために、どのような支援内容が効果的かを明らかにすることができる。
(4)社会的、政策的関心事である「父親の子育て」を、今後どのように展開していくことが望ましいのか、一知見を得ることができる。

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