平成26年度 採択課題 研究概要

研究代表者氏名 原 順子
(ハラ ジュンコ)
所属 人文社会学部
人間福祉学科
健康福祉専攻
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 25380811
研究課題名 聴覚障害者への相談支援における文化モデルアプローチの研究

研究の目的

 聴覚障害者を対象に相談支援活動をおこなうソーシャルワーカーの支援モデルとして「文化モデルアプローチ」の有効性を明確にし、且つ理論的に構築することを目的として研究をおこなう。具体的には、クライエントが聴覚障害者の場合には、聴者の場合とは異なる独自の「文化モデルアプローチ」が有効であり、このアプローチは聴覚障害者のろう文化を基盤としたストレングス視点に基づくアプローチであることを実証する。実証化のために、ろう文化に関する調査研究および聴覚障害ソーシャルワーカー(海外のソーシャルワーカーを含む)への質的・量的調査を実施する。更に、主流文化である聴文化に対するろう文化の有り様についても考察する。

期待される研究成果

 聴覚障害ソーシャルワーカーのろう文化視点による「文化モデルアプローチ」が有効であることが明らかになれば、聴覚障害ソーシャルワークの専門性がより明確となり、クライエントとしての聴覚障害者を医療・病理モデルではなく、文化モデルでの視点で相談支援をおこなうことの是非が明らかになる。また、「文化モデルアプローチ」が実践されるには、独自のカルチュラル・コンピテンスが必要とされ、社会福祉士、精神保健福祉士といった国家資格取得者が少ない現状から、聴覚障害に関する専門知識や技術をもった聴覚障害ソーシャルワーカーの育成に貢献できると考える。

<具体的な研究成果>
① 聴覚障害者の独自の文化であるといわれるろう文化の実態、デフコミュニティおよび聴者社会での認知度を調査により明確にする。
② ろう文化視点に基づく「文化モデルアプローチ」が有効であることを、聴覚障害者を対象に相談支援をおこなっているソーシャルワーカーの相談内容から明らかにする。
③ ろう文化に対する認知度は国によって違うが、障害学研究が進んでいるアメリカとイギリスを中心にその実態を調査し、日本との相違点を明らかにする。
④「文化モデルアプローチ」により、聴覚障害者へのストレングス視点での介入 が可能となることを理論的に明確化する。

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研究代表者氏名 毛受 矩子
(メンジュ ノリコ)
所属 教育学部
教育学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 25463653
研究課題名 高齢妊娠・初出産の母親に対する支援とヘルスリテラシー構築プログラムに関する研究

研究の目的

母性の加齢による不妊症・高度生殖医療・先天性の障がい児発生率等の増加は高齢妊娠・初出産の母親にとり妊娠期から身体的精神的不安を増大させる要因ともなっている。一方核家族化、少子化の中で育児の未体験者も多く、産後うつ状態も増加傾向にある。併せて高齢妊娠・母にとっては、家族の生活習慣病や介護等の健康課題も重なってくる年代である。しかし、高齢妊娠・初出産の母親とその家族のための支援に関する取り組みは少ない。そこで本研究では高齢妊娠・初出産の母親が持つ心身の健康課題を明らかにし、母親とその家族のライフサイクルに添ったソーシャルキャピタル(協調・規範・ネットワーク力とする)・ヘルスリテラシー構築(健康面での情報収集や活用力とする)のための直接的・遠隔的健康支援プログラムを開発することにある。

期待される研究成果

高齢妊娠・初出産が年々増加する中で、少子化、高齢社会は避けられない時代にきている。そこで、本研究では
①高齢妊娠・初出産が持つ身体的心理的健康課題を明らかにすることができる。 ②併せてソーシャルキャピタル・ヘルスリテラシー構築の視点から今何が求められているかを明らかにすることができる。 ③高齢妊娠・初出産の母・児とその家族のライフステージに添った健康支援プログラムの開発ができる。Skype利活用の遠隔的健康支援情報は今後広く汎用が可能となる。 ④ライフステージで生じる健康イベントを予測しつつ、健康支援を開始することで高齢妊娠・初出産の母に育児負担と育児不安の軽減を図ることができ子ども虐待予防に繋がる。 menju_kaken.JPG

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研究代表者氏名 今井 真理
(イマイ マリ)
所属 人文社会学部
人間福祉学科
保育専攻
職位 准教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 25370196
研究課題名 脳機能イメージングを活用した芸術表現時の脳内機序の解明

研究の目的

 本研究は非科学的なるものと一般的に認識されている芸術領域を科学的に捉えることを目的としている。
 また、データ解析モデルを作成し、芸術表現時に対する脳の反応を司る神経メカニズムを研究し、 脳機能イメージングによる芸術表現時の脳内機序を目指すものである。

期待される研究成果

 次世代の脳機能イメージング応用技術の開発めざすこととし、また、芸術表現時の脳内活動の全貌を明らかにしつつ、一般的には抽象的で理解しづらいとされている芸術の分野において最適なシステムの構築に寄与できると考える。

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研究代表者氏名 松本 珠希
(マツモト タマキ)
所属 教育学部
教育学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26350877
研究課題名 不妊女性の心の不調を探る:多嚢胞性卵巣症候群に関与する心理神経内分泌動態の解明

研究の目的

 不妊とは、生殖年齢にある男女が妊娠成立を希望して健常な性生活を営んでいるにも関わらず、2年以上経過しても妊娠の成立をみない状態を指す。女性の社会進出と晩婚化が進み、合計特殊出生率の低下がクローズアップされているが、この少子化という名の舞台の裏で、子どもを産みたくても産めないことで悩む女性は増加傾向にあるのが現状である。不妊の要因は多種多様だが、中でも多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome: PCOS)は、排卵障害を来す主要な不妊原因であり、生殖医療現場において頻繁に遭遇する疾患である。また、PCOS女性では、月経異常や性ホルモン分泌異常に加えて、うつや不安、自尊感情の低下など深刻な心理症状も高い頻度で発症することが報告されている。メンタルヘルスの悪化は、脳・神経・内分泌系が織り成すネットワークにより維持される生体の恒常性を損ない、身体症状のみならず、妊娠率や不妊治療の成績にも影響を及ぼすであろうことが推察されるが、PCOSの詳細なメカニズムと"心"の関与については未だ明らかにされていない。  本研究では、多彩な臨床症状を呈するPCOSを、心身相関の指標となる"自律神経活動"を基軸とした多因子性病態モデルとしてとらえ、心理・神経・内分泌要因の相互関係を探求することにより、その複雑なメカニズムを解明することを目的とする。加えて、PCOS女性の不妊治療前の心理状態及び治療の過程において生じるであろう抑うつ、不安、怒り、悲嘆等の心理症状やその女性の性格特性が、神経内分泌系に及ぼす影響と、妊娠率や治療成績への関与についても併せて検討する。

期待される研究成果

 PCOSの新たな診断基準と治療指針が制定され(日本産科婦人科学会2007)、その病態解明に向けて研究が加速化している。しかし、以前より指摘されてきたPCOS女性に見られる心の問題については、いまだ置き去りにされている感がある。不妊女性は、不妊であるという心の傷と不妊治療そのものが、往々にして、彼女らの人生において経験する最も強いストレスであると感じている。ストレスによってホルモンバランスの異常や生体恒常性の低下など健康状態が障害されると、個人のエネルギーは生殖機能に向かわず、個体の健康回復のために消費され、結果的に妊孕性の低下を招いてしまう。  本研究を通して、PCOSの心理・神経・内分泌要因の相互関係を探求することにより、その複雑なメカニズムを紐解くことが可能と考えている。また本研究で用いる自律神経活動指標は、筆者が従来実施した多数の研究で用いてきたものであり、うつ・不安を抱えるPCOS女性の心身のストレスを客観的に評価できるだけでなく、"出口の見えない長いトンネル"と称される不妊治療の過程で生じるPCOS女性の心身の変化の観察と治療効果の検討にきわめて有用と確信している。

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研究代表者氏名 木村 三千世
(キムラ ミチヨ)
所属 経営学部
経営学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26380554
研究課題名 ワーク・ライフ・バランスを実現するための日本型ワークシェアリングの再構築

研究の目的

 正社員として雇用されている労働者が自己の状況に応じて、多様就業型ワークシェアリングを活用して労働時間を調整し、仕事と生活のバランスをとって健康的な労働者人生が実現できる働き方を探り、多様な状況に対応できるワークシェアリングについて提案する。 ※ ワークシェアリングとは雇用機会(仕事)、労働時間、給与・賃金を多くの労働者と分かち合うことである。多様就業型ワークシェアリングは状況に応じて労働時間を短縮するとともに、多様な働き方が可能になるシステムを導入して、雇用を維持・拡大することといえる。労働者自身が、①健康的に職業生活を中心として働きたい期間には多少の残業は厭わずフルに働くことを選択できたり、②育児・介護または自己啓発のために仕事以外に時間を割きたい場合には正規の労働時間より短い労働時間で働くことを選択できたり、③場合によっては労働者自身の体調に応じて特定日の特定の時間だけ働くことも選択できるなど、仕事と生活のバランスを調整して働くことが可能な就業形態のモデルを再構築する。

期待される研究成果

 近年、経済のグローバル化、産業構造の変化、少子高齢化、労働観の多様化などが進展しており、経営効率の向上を図る必要もあることから、働き方の見直しが急務となっている。さらに、現在の労働者は個人的生活において、多くの役割を担うことも求められている。こうした多様な課題に対応した働き方を実現するためには、状況に応じてフレキシブルに調整する必要がある。そこで、積極的に仕事にかかわったり、安心して子育てや介護ができたり、将来を展望した主体的なキャリア形成に取り組めたり、個人の状況に応じて無理なく仕事を継続するために、状況に応じた多様な雇用(柔軟な労働時間制度、短時間正社員、勤務地・職種限定勤務、在宅勤務など)が選択できる新たな就業環境を整えることが必要であると考えられる。  そこで本研究では、長い労働者人生における全労働時間や一定期間の労働時間を労働者自らがコーディネートすることによって、生活者として活用できる時間を創出して豊かな生活を実現するための方法を模索し、そのモデルを構築する。労働者自らがコーディネートするために、どのようなことが課題であり、どのような問題を克服する必要があるのかを究明し、解決するための方法を探ることは、ワーク・ライフ・バランスの見える化を促進することになる。長時間労働となりやすい現在の日本企業における就業状況において、ワーク・ライフ・バランス環境を整えることは重要課題となっているため、広く社会に貢献できるものである。

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研究代表者氏名 原田 保秀
(ハラダ ヤスヒデ)
所属 経営学部
経営学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 26380638
研究課題名 会計倫理教育手法の開発と評価-理論構築・実態分析・教育実践の観点より-

研究の目的

本研究では、会計不正を抑制するための鍵となる会計倫理の問題について、①会計倫理がなぜ必要かを明らかにする経済学的モデル構築の研究、②日本企業における企業倫理の内部制度化についての現状を把握・分析研究、③会計倫理の先進国であるアメリカ、カナダの会計倫理教育の現状把握・分析研究、④アクティブ・ラーニングに基づく新しい会計倫理教育手法の研究という4つのアプローチで研究を進める。これらの研究方法によって、会計倫理の学問的体系化を図ることが本研究の目的である。他の応用倫理の分野(医療倫理、技術倫理、環境倫理、企業倫理等)に比べて、日本ではあまり研究が進んでいない会計倫理研究の現状を考えると、多面的な視点で取り扱い、深化させていくことは意義があることといえ、大きな学術的貢献をなしうるものと考えられる。

期待される研究成果

会計倫理に関して、その重要性は会計不正が発生する度に声高に叫ばれることからも理解できることである。しかしながら、我が国において研究されている会計倫理の問題はそのほとんどが公認会計士の職業倫理に関するものであり、すべての会計に携わる人々を対象にした研究はわずかであるといえる。また、公認会計士に対する倫理教育についても、定まった方法はなく、効果的な教育方法の構築が望まれている。本研究の学術的な特色は、公認会計士の職業倫理ではなく、広く会計に携わる人々すなわち会計人を対象にした多面的な研究であるという点にある。本研究によって、会計倫理の必要性・重要性を理論ベースで明らかにすること(なぜ会計倫理が必要か)、会計倫理についてすでにかなりの研究が進んでいるアメリカ、カナダの状況を把握すること(教育の現状はどうか)、内部統制制度と絡めて日本企業における倫理の内部制度化を把握すること(実務上倫理はどう機能しているか)、新しい会計倫理教育方法の提案(効果的な教育方法を構築する第一歩)を通じて、我が国においていまだ多くの手つかずの部分がある会計倫理教育を飛躍的に進展させることが研究成果として期待される。

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