「数珠つなぎ支援の和」講座も早いもので、6月4日に開催された第5回から後半に入りました。
今回は、田島智子先生による「源氏物語における紫の上の葛藤とやすらぎ」です。
紫の上の生涯を8歳年上の光源氏の生涯と対比した年表にもとづいて、女三宮の降嫁以降、紫の上が亡くなるまでを3期に分け、それぞれの時期における紫の上の心の動きを、源氏物語の論述を資料として読み解いていくという興味深いものでした。女三宮の降嫁という突然ふりかかった災難に対して、紫の上は、その衝撃を隠し、自らが置かれた立場を見極めて、世間的に非難されないように、自分の感情を押し殺して理想的に振舞おうとします。無理をし、気を張り続ける紫の上ではありますが、次第に疲れが重く感じられるようになり、現世の苦しみから逃れるために来世に目を向け、出家を願うようになります。しかし、源氏は、そうした紫の上の心中をまったく理解することできません。そのことが紫の上をさらに絶望の淵へと追いやることになり、とうとう発病してしまいます。こうした苦しみのなかで、紫の上は精神的に成長を遂げ、女の生き方とは何かを思考することのできる高みにまで昇っていきます。とはいえ、出家の望みが叶えられるわけではありません。その執着心をも含めて、あるがままを受け入れる心境に達するのです。家族と細やかに心を寄せ合うひと時を持った後、紫の上は、露のように、はかなく美しく生涯を閉じます。
紫の上は、最期におよんで、源氏に対して包むようないたわりの気持ちを持つ境地にまで達したという田島先生の説明を聞いたとき、今日のテーマである「やすらぎ」を紫の上はやっと手にしたのだと思い、ほっとしました。この時代の女性が置かれた不条理を、たんに「あきらめ」ということではなく、それはそれとして受け入れつつ、源氏に対してさえ包むようないたわりをみせるとき、それはこの世の何たるかを悟った紫の上の「やすらぎ」であったと言ってもよいのではないないでしょうか。それにしても、当時の身分制のもとでの世間の眼、あるいは加齢(女盛りを過ぎる)という具体的な状況にあって紫の上が思い悩むのに対して、愛情を一身に注いでいるのだからこれ以上の何が必要なのだと思っている源氏、両者の気持ちはどうしてもすれ違ってしまいます。質疑応答においては、この男と女の気持ちのすれ違いについて、現代に場所を移して話し合いがなされました。
第5回講師:田島智子先生
数珠つなぎ支援の和
3月11日に未曾有の大震災が東日本一帯に発生し、多くの方々が犠牲となりました。被災した地域は広範囲にわたり、被災された方々の人数は未だに確定できないような惨状です。こうしたなかで、遠く大阪の地から直接的な行動による支援をすることはなかなか難しいものがあります。そこで、聖徳太子の仏教精神を建学の精神としている四天王寺大学に籍を置く教員ができることをできるところから始めようと、このたび、「数珠つなぎ支援の和」と題したチャリティー講座を下記のとおり、開催します。多くの皆様方のご参加をお待ちしております。
日時・内容
第1回 5月 7日(土) 「被災地を歩いてみて―災害時に求められるボランティアの役割を考える―」(武田盛夫専任講師、吉田祐一郎専任講師)
第2回 5月14日(土) 「災害の報せに触れたとき―こころと現実―」(茂木洋准教授)
第3回 5月21日(土) 「仏教における利他の精神」(桃尾幸順専任講師)「香りとやすらぎ」(楠本久美子教授)
第4回 5月28日(土) 「阪神淡路大地震の記憶から」(久家英述教授、長谷範子准教授)
第5回 6月 4日(土) 「源氏物語における紫の上の葛藤とやすらぎ」(田島智子教授)
第6回 6月11日(土) 「届け!私たちの心の響き」(原祐子教授、奥千恵子専任講師)
第7回 6月18日(土) 「あらためてコミュニケーションについて考える」(大関雅弘教授、木村三千世准教授)
第8回 6月25日(土) 「風評被害を考える」(里見脩教授)
場所
(第1回) 藤井寺駅前キャンパス
大阪府藤井寺市春日丘3-1-78
駐車場、駐輪場はありません。公共交通機関をご利用ください。
(第2回~第8回) 四天王寺大学
大阪府羽曳野市学園前3-2-1
無料駐車場完備(自動車:700台/単車:600台収容可)
※第1回と、第2回以降は会場が変わりますので、ご注意ください。
会場へのアクセス方法はこちらをご覧ください。
受付
当日会場にて受付します(事前申込不要)
受講料
500円(集まった義援金とともに寄付します)
問合せ先
- 四天王寺大学エクステンションセンター
- 〒583-8501 大阪府羽曳野市学園前3-2-1
- TEL 072-956-3345
- FAX 072-956-9960






