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野中寺座禅会レポート

IBUでは毎年、春と秋に座禅会が催されます。秋の座禅会が10月25日に行われました。
参加者は引率の桃尾先生、兼子先生、矢羽野先生、そして参加を希望した学生4名でした。

座禅会は毎回、野中寺をお借りして行われます。

野中寺は江戸時代に律宗の僧侶の修行道場となっていた有名な寺院です。
座禅会を催すのにぴったりの場所といえるでしょう。

まずは座禅会の前に野中寺についての説明を兼子先生にしていただけることになりました。

 

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野中寺の境内は、中門から見て右に金堂跡、左に塔跡があります。この配置を法隆寺式伽藍配置といいます。

塔は釈迦の遺骨や遺品を収める建物で、金堂は寺院のご本尊を安置するための仏殿です。
これらを中門に対し横に並べる配置は、釈迦と本尊を平等に重んずる信仰の表れということです。

 

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塔の礎石の数と配置から三重塔だと推測されます(写真左)。心礎には顔や爪の形が掘られていて、亀を表しているように見えます(写真右)。

 

本堂の奥に広がる僧坊にお邪魔して、実際に僧侶の方が修行をしていた方丈という場所でいよいよ座禅会を行います

座禅の仕方は、桃尾先生に教えていただきました。教わった方法を紹介します。

まず足の組み方です。あぐらをかいた状態から、片方の足をもう片方の足のももの上に乗せる、「半跏趺坐」という組み方にします。慣れていないと辛いだろうということでこの組み方なのですが、両方の足をそれぞれの反対側のももの上に乗せる「結跏趺坐」をしても構いません。
背筋は伸ばして、目は半分だけ開き1.5mほど前の床に視線を落とします。

次に手の形です。右手を下にして手を重ね、親指同士の先を触れさせます。この「定印」という形で下腹部に据えます。

呼吸は、まず鼻から深く吸って一旦止め、口から息を吐ききります。初めのうちはこれを繰り返し、息を数えましょう。しばらくしたら鼻だけの呼吸に変えます。

これを20分程度つづけました。会話や身動きもせずに、視線も固定したままでいると、聴覚だけが鋭敏になってきます。
外から鳥の鳴き声や車の音がよく聞こえてきます。

本当に集中して座禅をするなら、その音でも思考を乱されないようにできるはずですが、さすがに一日でそんな境地には至ることはできませんでした。

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座禅会のあと、ご厚意で住職さんが僧坊内の案内と説明をしてくださいました。

 

一番印象に残っているのは比丘寮(びくりょう=成人僧侶の宿舎)です。四畳半の狭い部屋に聖徳太子像と花を備え、あとは文机があるだけの修行だけのための宿舎です。
写真にみえる椅子は「縄床(じょうしょう)」というもので、縄を張ってクッションの役目をさせたものです。

僧侶はここで座禅を組み、寝ずの修行をしたそうです。かつて修行僧は、肘(ひじ)に大きな艾(もぐさ)を焼いて

熱さに耐えるという荒行もしていたそうです。律の経典を見せてくださり、住職さんが説明してくださいました。

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野中寺の墓地には、

お染久松(おそめひさまつ)の供養塔があります。
お染久松とは歌舞伎や浄瑠璃でも演じられる恋の物語の主人公で、実在した人物です。

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あらすじを紹介しましょう。

お染は江戸時代の大坂の油問屋・天王寺屋の娘で、奉公人の久松と恋仲になりました。
しかし身分の違いからこの世で添い遂げることができず、「せめてあの世で一緒に」と心中したのでした

この供養塔はお染の父親が二人を憐れんで建立したものといいます。

 

大学からすぐ近くなので、一度足を運んでみてください。

(ウパーヤ学生編集員 雑賀一樹)

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