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2019年6月30日 中山寺を訪れました

梅雨の訪れと共に大粒の雨に見守られながら、今回私たち取材班は、兵庫県宝塚市にある聖徳太子によって創建された日本最初の観音霊場「中山寺」を訪れました。このお寺は、聖徳太子が仲哀天皇の后の大仲姫(おおなかつひめ)と忍熊皇子(おしくまのみこ)を供養するために創建したと伝えられ、また西国三十三所観音巡礼の第二十四番札所として、今も多くの人々が参拝に訪れます。

 「安らかに生んで すこやかに育てる。」お寺の境内に掲げられたこの優しいフレーズからわかるとおり、中山寺は、私たち女性だけでなく、人生の伴侶を得た男性にとっても、「子宝に恵まれますように」「元気な赤ちゃんが生まれますように」と願いを込めた腹帯を授けて頂くお寺として、多くの人々が参拝するお寺でもあります。古くは豊臣秀吉が祈願して秀頼を授かり、明治天皇のご生母が御平産されたことから全国から参拝されるようになったと言われています。

 取材の当日の6月30日は戌(いぬ)の日ということもあり、時間と共に雨が強くなるにもかかわらず、赤ちゃん連れの方、妊婦さん、愛犬を連れた方まで、多くの参拝客で賑わっていました。古来日本では妊娠5ヶ月の最初の戌の日に安産祈願をして腹帯を巻く習慣があります。戌の日に参拝するのは、犬は極めてお産が軽く、一度に沢山の子どもを産むことから、安産の守り神とされたことに由来します。

 この日も安産祈願のご家族や元気な赤ちゃんを出産した若いファミリーのお礼参りの姿が大半で、微笑ましい光景があちらこちらで見られました。「新しい命を授かる」ことは今なお最大の神秘であり、古い慣習や、昔からのしきたりとは縁遠くなった現代においても、期待と不安とを胸に、一番心安らいで信頼できる「お寺参り」という伝統を忘れない日本人の本質を垣間見たような気がしました。

 私たち取材班も中へ進み、大きく聳え立つ本堂にお祀りされている本尊「十一面観世音菩薩」に対面しました。お名前の通り頭上に11のお顔を持ち、常にあらゆる方向を見守り、時には諌めたり、時には励ましたりしながら、苦しんでいる人々に救いの手を差し伸べてくれると言われています。また、「鐘の緒」と呼ばれる、観音様の力が宿っているお堂の鐘を打ち鳴らすための大綱があり、ご加護があることを願って、御腹帯を「鐘の緒」として授けているとのことでした。このように観音様は女性にとっての安産祈願だけでなく、日本の伝統を温かく守り続けておられるのでしょう。梅雨の雨をひと時忘れる、落ち着いた時間を満喫した一日でした。

ウパーヤ学生編集員:青名 麻梨亜

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